30~40代の子育て世代は、学資保険の代わりに新NISAを活用するのも手だ。

「今の学資保険は、元本割れの商品もあり、ほとんど増えません。だったらその分の資金を、子どもの大学受験のときまでNISAで運用しておくほうが、メリットが大きいと思います」

 50~60代以上では、老後資金の積み立てや退職金の運用先としても活用できる。

「新NISAでは、1人当たり1800万円の非課税保有限度額が新たに設けられます。利点は、限度額を使い切ったとしても、売却すればまたその分の枠が復活すること。

 例えば500万円分売却してしまえば、また翌年にまるまる500万円分の枠が復活するんです。これだけの限度保有額であれば、退職金も上手に運用できるはず。銀行なんかで下手に退職金運用プランを契約しちゃったら、損しますよ(笑)」

 NISAを始めたら、例えば子どもの大学進学のタイミング、介護が必要となったタイミングなど、大きな資金を必要とするときまで決して売却しないことが重要だ。

「長期の積立なので、個別株と違い、なるべく低い価格で買い、もっとも高い価格で売るなどの考え方は必要ありません。チャートの推移をいちいち気にせず、10年、20年放っておける人のほうが向いていますね(笑)」

退職金などを活用して老後資金作りをするのもひとつの手 ※写真はイメージです
退職金などを活用して老後資金作りをするのもひとつの手 ※写真はイメージです
【写真】「新NISA」と「現行NISA」、劇的に変わった内容を比較

 “億り人”“FIRE”などの言葉がひとり歩きするように、初心者は投資に対してどうしても「一獲千金」のイメージを抱きがち。

 新NISAに関してはそのようなハイリターンは期待できない代わりに、ローリスクで着実な投資が期待できそうだ。

 物価高が進み、賃金は上がらず、年金制度への不安も募るなか、自分の身を守るひとつの手段として始めてみてはいかがだろう。

教えてくれたのは……長尾義弘●ファイナンシャルプランナー(AFP)。出版社勤務を経て、『NEO企画』を設立。著書に『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)など

(取材・文/植木淳子)