物を捨てるのは悪だと思っていた

 ワンルームのアパートでの暮らしぶりを発信するインスタグラムが注目を集めるミニマリストのapartment301さん(以下、アパさん)。モノトーンで統一された無駄のない彼女の部屋は、7年前に起きた熊本地震が転機だった。

「揺れの後、整然と片づいていたはずの部屋には、一瞬にして物が散乱し、足の踏み場がない“汚部屋”に変わっていました。あまりの物の多さに圧倒されてしまって。

 たくさんの物が壊れてしまった悲しさより、自分の部屋にこんなにたくさんの物があったのかという衝撃のほうが大きかったくらいです」(アパさん、以下同)

震災後の物が散らばった部屋
震災後の物が散らばった部屋

 元来、“収納大好き人間”。以前の部屋では、サイズを測って買ったケースを並べた美しい収納に満足していた。しかし、

「地震を経験し、収納をいくらきれいに整えても、今の自分に不要なものをため込んで暮らしていてはダメだと気づきました」

 地震後、街中に出されたゴミを見ると、壊れたものだけでなく、明らかに“いらないもの”であふれかえっていた。いかに多くの人が自分と同じように不要なものと一緒に暮らしていたのかを実感したと振り返る。

「部屋にある大量の不要品は、ただ部屋を雑然と見せるだけでなく、時には自分の命を危険にさらす物に変わる瞬間があると、多くの人が気づき、震災後に手放したのだと思います。

 どんな物でも“大切にしなければいけない”、“捨てるのは悪だ”という考えは、地震によって強制的にリセット。自分に必要ではなくなったものは、手放しながら暮らすべきだと思うようになりました」

必要なものだけとはいえ、雑然としていた玄関。靴も厳選して、収納もコンパクトなものへと変更。季節の花を飾ることも忘れない
必要なものだけとはいえ、雑然としていた玄関。靴も厳選して、収納もコンパクトなものへと変更。季節の花を飾ることも忘れない