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ー なぜ5月の平日夜?視聴率は?

 “アジア版グラミー賞”を掲げ今年新設された、国内最大規模の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN2025』。

「グラミー賞を標ぼうしているので、ジャンルが多岐にわたるというか、細かすぎる(笑)。最優秀国内ロックアーティスト賞(King Gnu)や最優秀ダンスパフォーマンス賞(新しい学校のリーダーズ)といった賞はイメージができますが、最優秀国内オルタナティブアーティスト賞(羊文学)とか最終週バイラル楽曲賞(Creepy Nuts)となるとイメージがとらえられなくて

 とスポーツ紙ベテラン音楽記者も苦笑いだ。

なぜ5月の平日夜?視聴率は?

 日本の音楽業界の主要5団体が連携した賞で、音楽業界関係者約5000人が投票し、62部門を決めるという大規模な仕組み。5月21日22日の両日、文化庁のおひざ元である京都で授賞式が行われた。

「東京の音楽記者も招待されましたが、あご足なし。つまり交通費も宿泊費も自費負担でした」と、これまで至れり尽くせりだった音楽業界と音楽記者の蜜月風関係性は持ち込まれなかったようだ。

 授賞式はNHKで放送されたが、「視聴率10%。それが成功かどうかの目安」と投票した音楽記者が漏らす。だが、ふたを開けてみると結果は芳しくない。

 23日に明らかになった視聴率(ビデオリサーチ社調べ)は、世帯視聴率が6.1%、個人視聴率が3.5%と期待ほどではなかった。ただし配信も行っているため、若い世代が配信で視聴している可能性は高く、配信数の発表が待たれるところだ。

「放送の中身は、紅白よりよかった(笑)。ただ、なぜ5月だったのか、しかも平日の夜の開催で、盛り上がりに欠けた感は否めませんね。そのうえ事前PRがまったく足りない。一般の人の間で、レコ大(日本レコード大賞)のように根付いて話題になるには何年も必要かもしれませんね」

 とは、先の投票した音楽記者だ。

『MUSICAWARDSJAPAN2025』初代の最優秀アーティスト賞にはMrsGREENAPPLE
『MUSICAWARDSJAPAN2025』初代の最優秀アーティスト賞にはMrsGREENAPPLE

 あるレーベル幹部は、「規模が大きすぎて来年以降のキャスティングが心配ですね」と運営面を気にするが、文化行政に詳しいエンタメ評論家は次のように見通し、賞の継続に太鼓判を押す。

「主催する一般社団法人は、日本レコード協会、、日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会、日本音楽出版社協会で構成されている。いうなれば、日本の音楽ビジネスの中心勢力。簡単にやめるなんてことはあり得ない」

 そう断言した後で、次のような裏話を明かす。

賞は、文化庁と経済産業省がバックアップしています。特に力を入れているのは文化庁で、作曲家でもある都倉俊一文化庁長官の肝いりの賞であることは間違いない。実は、賞を作るにあたっては、関係者が何度か、都内の高級住宅地にある都倉さんの自宅に集められ、極秘の会合が行われていたんです

 そこで特に話題になったのは、どのような主催母体にするか。結果的には日本の音楽団体ばかりが入りましたが、新しい時代、世代に訴える賞にするためには、主催母体にTikTokやYouTube、インスタグラムなども入れないといけないと議論されました。結果、新興勢力が組み入れられることはありませんでしたけどね」

 何はともあれ、第1回をきちんと作り上げることができたのは関係者の奮闘努力のたまもの。初代の最優秀アーティスト賞にはMrs. GREEN APPLEが選ばれ、第1回は幕を閉じた。