注文したら早ければ即時発送、翌日にはもう自宅に到着。現代人の多くが利用するネット小売『Amazon』。同社の新CMが放送・公開からまだ間もないにもかかわらず、酷評の嵐となっている。
男性の見えないところでポチる女性
CMは次のようなものだ。
突然の雨だったのか、公衆電話のボックスに雨宿りで逃げ込む女性。そこにおそらく恋仲にある男性が通りかかる。雨の中で抱き合う男女。雨なので女性のマスカラが流れ落ち、ホラー映画か、はたまた大御所のハードロックバンドのメイクのよう。
抱き合っているので女性は男性の背後に腕を回した状態。その腕を回した体勢、すなわち男性の視界に入らないところで女性はスマホをイジる。開くはAmazonアプリ。表示されるは“ウォータープルーフマスカラ”。女性は“今すぐ買う”をポチり。

どこか安心したような表情の女性。何も知らない男性はさらに強く女性を抱きしめる。なおも雨は続く。すると今度は雨に濡れた足元が気になりだす女性。再度スマホをスクロール。“ソックス”をポチり。
三度、強く抱きしめ合うふたり──後日、女性の自宅にAmazonからの荷物が置き配で届く。仮に男性と抱き合いながら買った“マスカラと靴下のみ”ならば、Amazonあるあるな“小さい商品にデカいダンボール”で……。
この“欲しいものがいつでも注文できて、すぐ届く”ということを伝えたいのか、それ以外の意図があるのかよくわからないCMだが、非常に否定的な意見が多く集まっている。
《Amazon マスカラとXでググったらやはり大不評》
《AmazonはセンスないCMを何度も流すな。なんでマスカラがあんなデカい箱で届くんだ。女の薄ら笑いも意味不明だし》
《マスカラ流しながら雨の中で抱き合ってるその手でスマホでAmazonで何かを注文する女が出てくるAmazonの CMの気持ちが1ミクロンも理解できない。というか、Amazon使うけど、CMに出てくる人に共感できたことが本当に一度もない》
Amazonは外資系企業であるが、日本を舞台に、日本人が出演し、日本語が使われている。にもかかわらずなぜ否定的な意見が多く見られるのか。
「今回の雨で抱き合う男女のCMは、日本人キャストを使い、日本で撮影したものですが、ディレクターやプロデューサーなど映像制作に直接的に携わっているのはすべて外国人スタッフ、海外の制作会社。今回の制作会社はNIKEやAppleの広告、またビヨンセやコールドプレイなどのミュージックビデオを手がけています。
根本的にそれらのCMや広告はグローバル展開されるもので、日本人が出演していますが、日本人だけに向けられたものではないので、そこに違和感を覚える人が多いのでしょう。
欧米の大企業は商品自体の特徴や効能を伝えるより、企業の世界観やイメージ、その商品やサービスによってもたらされる価値や未来、それで得られる感情といった“その先”を伝える広告が少なくない。日本で流れる外資系企業のCMもその観点で制作されたものが多く、それが結果 “意味がわからない”“共感できない”“オシャレぶっていて嫌い”という感想になるのでは」(広告代理店社員)
Amazonは便利。だけれども……。