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ー 名作実写の映画『ルックバック』

 藤本タツキ原作の短編マンガ『ルックバック』が、是枝裕和監督の脚本・編集によって実写化。ヴェネチア国際映画祭にも出品、受賞への期待も高まる。

 是枝監督が描く世界観を楽しみにするファンもいれば、《この作品は原作が最上だなぁ》《原作のルックバックは漫画家の話だから漫画で表現する意味があった》と原作ファンから懸念もあるようだ。

名作実写の映画『ルックバック』

「『ルックバック』は、是枝作品だからこそ国際的な映画祭に出品できた。グローバル展開を意識している大規模作品とは立ち位置が違うものです」

 と語るのは映画ライターのよしひろまさみちさん。

『ルックバック』藤野役を出口夏希、京本役を蒔田彩珠が演じる(写真は公式SNSより)
『ルックバック』藤野役を出口夏希、京本役を蒔田彩珠が演じる(写真は公式SNSより)

 その上で、マンガ実写化における一般的な傾向と、一筋縄ではいかない難しさを分析する。

原作やアニメの既存ファンを取り込むことで興行規模を拡大できることに加え、出演者のバリューによっては新規ファンの獲得が見込めます。原作元との契約次第ですが、実写版ならではの再解釈も可能です。また、生身の俳優の演技によって、原作やアニメではできないヒューマンドラマとしての魅力をプラスできるのも、メリットの一つです」(よしひろさん、以下同)

 一方、デメリットについては、

「上映時間や予算などの制約による物語の改変が、既存ファンには受け入れられない場合もあります。原作者や版元との調整がうまくいかないとトラブルに発展し、タイトルそのものを傷つけかねません」と指摘。

 では、アニメ化は歓迎されやすいのに対し、“実写化アレルギー”が起こりがちなのはなぜか。

「そもそもマンガは、他国に比べれば広く読まれているものの、やはりコアなサブカルチャー。さらに原作のファンがコア層であるほどイメージが固定されている。イメージをそのまま映像化できるアニメーションと比べ、実写ではどうしてもリスクがあります。売り出し中の若手俳優を起用しやすいジャンルでもあるので、ゴリ押し感があると、反発を招きがちです」

 評価を分けるポイントについて、よしひろさんは過去の例を挙げる。

大失敗とはいえませんが『進撃の巨人』の実写化は物議を醸しました。まずファンタジーの舞台設定を日本に変更。さらに人気キャラを削り、長大な原作を短時間にまとめるための大幅な改変が猛批判されました。冗長な脚本と芝居が原作の持ち味を欠いたことも要因です

 大人気タイトルゆえの期待に応え、高評価を得た実写化作品も存在する。 

「『るろうに剣心』は、谷垣健治アクション監督による、全盛期の香港映画に近い身体能力レベルのアクションが“原作のイメージを超えた”とも評価されました。
 海外実写版『ONE PIECE』も“原作者が納得するまで公開しない”という絶対的な監修のもと、予算を惜しまず原作への愛を最優先した結果、世界的なヒットにつながりました」

 実写化ならではの表現の追求と、原作への揺るぎないリスペクトが、成功のカギを握っているようだ。