評価が上がった恩田すみれ役を演じた深津絵里

 そうした酷評が聞かれる中で、期せずして評価を高めているのが、かつてヒロインの恩田すみれ役を演じた深津絵里だ。同僚であり“相棒以上恋人未満”という青島とすみれの絶妙な距離感は、長年ファンを魅了し続けたシリーズの大きな魅力だった。

「深津は2012年公開の映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』を最後に作品から姿を消しており、今作の登場も回想シーンのみ。和久平八郎役のいかりや長介さんが亡くなり、室井もスピンオフ作品で退場。『踊る』らしさがなくなっていく中で、安易な続編に乗っからなかった深津の選択は非常に賢明だったと言えます。

 ファンからも『すみれさんの綺麗な思い出を守ってくれた』『出なくて大正解』『深津絵里さんが出てないことに加点したい』といった声が続出。作品のクオリティや演出をめぐる賛否に巻き込まれなかったことで、皮肉にも彼女の存在感と『株』が爆上がりする結果となっています」(前出の映画ライター)

 かつての仲間たちが去り、孤軍奮闘で青島を演じ切った織田の情熱には頭が下がる思いだが、作品を取り巻く逆風は想定外だったに違いない。

 結果として、自身の代表作の一つと言える大ヒット作の続編を辞退した深津の「作品と距離を置く」という“英断”だけが、際立ってしまったのはなんとも皮肉だ。