繰り返される情報流出の背景

 こうした問題は、今年に入ってもさまざまな業界で起きている。

 3月には福岡山王病院が、看護師による電子カルテ画面の撮影・投稿について公表。看護師本人が受けた診察に関するものだったとはいえ、院内で撮影した画面をInstagramのストーリーズに投稿することは不適切だとして、院内ルールやマニュアルの見直し、職員への教育研修体制の強化などを進める方針を示した。

 4月には、西日本シティ銀行の行員によるSNS投稿がXで拡散。銀行の営業店内とみられる動画や画像に、顧客の氏名が記載されたホワイトボードや、業務用のパソコン画面などが映り込んでいた。同行は4月30日、職員による投稿だったと認めて謝罪し、対象者に個別に謝罪・説明すると発表した。

「まじ暇」「つまんねえ」ベッドに横たわる入院患者や院内の様子などを映した看護師のSNSの投稿(Xより))
「まじ暇」「つまんねえ」ベッドに横たわる入院患者や院内の様子などを映した看護師のSNSの投稿(Xより))
【写真】《デブすぎ臭すぎ嗚咽祭り》拡散された看護師の投稿

 さらに5月には、飲食チェーン「肉汁餃子のダンダダン」のフランチャイズ店舗で、従業員によるSNS投稿を通じ、アルバイト応募者の履歴書に含まれる個人情報が外部に公開される事案が発生。運営会社は5月2日、公式サイトで謝罪と報告を公表した。当該投稿はすでに削除されており、応募者本人への対応などについて説明している。

「患者の情報、銀行の顧客情報、採用応募者の個人情報。扱うものは違っても、いずれも本来、第三者の目に触れさせてはならない情報が、SNSを通じて外部に出てしまった点は共通しています」

 と話すのはITジャーナリスト。なぜこのようなトラブルが相次いでいるのか。

「SNSの利用が日常に浸透した今、投稿そのものへの心理的なハードルが下がっているのでしょう。SNSでの情報発信は、投稿した本人が想定している公開範囲と、実際に情報が広がる範囲が一致するとは限りません。

 閲覧者がスクリーンショットを撮ったり、別のSNSに転載したりすれば、瞬く間に不特定多数へ広がる可能性があります」(前出・ITジャーナリスト)

 職員個人の問題として処理するだけでは十分とはいえない。勤務先での撮影ルールや個人情報の管理、SNS利用に関する教育が実際に機能していたのか、病院側には検証が求められる。