■噴煙が1万メートル上がると……

 阿蘇山は14日の噴火で煙をもくもくと上げ、火口から約60キロ離れた福岡県筑後市でも降灰が観測された。しかし、噴火規模じたいはさほど大きくないという。

「阿蘇山の噴煙は2000メートル上がりました。降灰によって、田んぼや畑の農作業などに支障をきたすと思いますが、地球全体でとらえると影響はほとんどない。噴煙が1万メートル上がると、そうはいきません。火山の噴出物がチリとなって地球の上空を覆い、飛行機が飛べなくなる。太陽光も地上に届きにくくなります」(高橋教授)

 江戸時代には、噴火の影響で飢饉を引き起こしたことがある。降灰で米など農作物がダメになり、鎖国下で食物が足りなくなった。浅間山噴火が大飢饉を招いたという説もある。公共交通機関やさまざまなライフラインがコンピューター制御される中、火山の噴出物が不具合を引き起こす可能性はゼロとはいえない。暮らしや経済に大打撃を与えることも考えられるのだ。

2010年にチリ中部で発生したマウレ地震では、プジェウエ・コルドン・カウジェ山が大噴火(写真は高橋教授提供)
2010年にチリ中部で発生したマウレ地震では、プジェウエ・コルドン・カウジェ山が大噴火(写真は高橋教授提供)

◎高橋学教授(立命館大学歴史都市防災研究所)のプロフィール

1954年愛知県生まれ。環境考古学(環境史、土地開発史、災害史)が専門。京都大学防災研究所巨大災害センター講師、ロンドン大学考古学研究所客員教授、チリ国環境省客員研究員などを歴任。著書『平野の環境考古学』(古今書院)など多数。災害リスクマネージメント博士