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 東京都の舛添要一知事は15日午前、辞職願を提出。本会議で辞職を認めるかどうか簡易採決され、「(異議)なし!」とあっさり認められた。

 共産党都議団の大山とも子幹事長は、「辞めればいいというものではない」と安易な幕引きを許さない。

「再発防止のためにも、背景を含めて事実は徹底解明しなければなりません。舛添氏は都議会代表質問、一般質問、集中審議を通じてちゃんと答えていない。ずっと、はぐらかしてきた。都民は怒っています。電話をかけてきて“自分だったら、こう追及する”とアイデアを教えてくれた人もいるほどです」(大山氏)

 共産党は、都議会で強い調査権限を持つ百条委員会を設置するよう求めた。しかし、自民、公明などの反対で否決された。

「百条委員会は、招致されれば拒否できない。ウソを言えば偽証罪に問われる。語ることを拒否している舛添氏にとっては、きちんとしゃべらざるをえない場所。現職知事じゃなくても、証人で呼ぶことができます」(大山氏)

 都議会総務委員会の13日の集中審議で、共産党の攻め手は鋭かった。舛添氏が正月の家族旅行中に部屋で政治的な会議を開いたとする千葉・木更津の『龍宮城スパホテル三日月』に宿泊し、調査してきたという。

 そのときの明細つき領収書を舛添氏の面前に突きつけ、「10年近く保存していると言っていた」と追い込み、明細をファックスで取り寄せることを約束させた。

 なぜ、これほどまでに怒っているのか。大山氏は言う。

「特養ホームの職員が言っていました。人手不足で、高齢の入所者のお風呂の回数を減らさないといけない。それがとってもつらいんだって。それなのに、舛添氏は毎週、湯河原の別荘で足をのばして風呂につかっているのかよって。ストレートな怒りです」

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 無所属(東京みんなの改革)の塩村文夏都議は、百条委員会設置に賛成して起立した。

「家族旅行やクレヨンしんちゃんの本まで、なんでもかんでも経費で落として、その言い訳もひどかったですよね。子どもの言葉遣いの乱れを学ぶためだとか。炎上して都議会の貴重な時間は舛添氏の疑惑追及に費やされ、都政が停滞し始めた。許しちゃいけない事態を招いたことは間違いありません」(塩村氏)

 塩村氏はちょうど2年前の6月、都議会で子育てや不妊治療の支援策について質問したときに男性議員から「産めないのかよ」などとセクハラヤジを飛ばされた。舛添氏はニヤニヤしただけ。その後、舛添氏は「みんなが笑ったので、つられて笑った」などと言い訳した経緯がある。

 塩村氏は「舛添氏は私には冷たかったけれど、そんなことで不信任案を出したりはしない」と言い切る。

「舛添氏の仕事として、災害時の対処法をまとめたハンドブック『東京防災』の発行や、自治体初の『女性活躍推進白書』策定などは評価しています。しかし、熊本地震が発生したときに米ワシントンで真っ赤なオープンカーに乗って手を振っているニュースを見たときは、こりゃダメだと思いました。ご自身が九州出身なのに鈍感すぎませんか」

 何もかもが許せないわけではない。しかし、東京のリーダーとしては危機意識がなさすぎたという。