子どもにとっての給食とは何か

 佐賀・江北町は、ふるさと納税の増収分を見込んで給食無料化の実現を目指す。

小1と中1はすでに無料化しています。完全無料化には約3000万円かかるので、積極的にふるさと納税を呼びかけたい」(江北町教委)

 子どもにとって、給食とは何だろうか。新潟県立大の村山伸子教授(公衆栄養学)は「安定した栄養が保証される大切な食事です」と話す。

「エネルギーをはじめタンパク質やビタミン、ミネラルなど基本的な栄養素が平均的に基準を満たしています。大量調理できるので家庭の食事に比べて品数も多い。

 日本人は小学生のときに給食を食べているため、一汁一菜などバランスのいい食事のパターンを身につけています。子どものころの経験は大事です。児童養護施設の職員に聞いた話ですが、魚や野菜に全く手をつけない子どもがいるらしい。家で食べた経験がないからだという。嫌いというより食べられないんです」(村山教授)

 子どもの貧困問題に取り組む村山教授は、給食の実施率を上げるべきだと話す。

だいたい小学校で97〜98%、中学で80%台後半です。特別支援学校や定時制高校も給食を出す。家庭で食べられない子どもがいます。栄養的に問題のある家もある。おにぎりだけ、チャーハンだけ、カップめんばかりとか。どこまで国民の合意が得られるかわかりませんが、子どもの食事に価値を置いてほしい。税金をそっちに使いましょう、となればいい」(村山教授)

 給食をめぐっては全国で注目される騒動があった。三重県鈴鹿市では野菜価格の高騰で「給食の2日間中止」が通知され、のちに撤回された。

「鶏モモ肉をムネ肉に変更するなど食材を見直して1日分は確保した。もう1日は調理員の炊き出し訓練を行い、備蓄のレトルトカレーを作ります」(鈴鹿市教育総務課)

 札幌市の小・中学校では給食調理用ボイラーの煙突からアスベスト含有の疑いがある断熱材がはがれ落ち、計30校で調理給食が出せなくなった。

「牛乳、パン、ゼリー、チーズなど調理しなくてもすむ簡素なメニューから、他校の協力で温かい1品をつけられるめどが立った。給食費の返還などはこれから検討されるだろう」(札幌市・保健給食課)

 学校給食が出ないのは一大事。騒動はそれを証明した。わが家の滞納を知って、ビクビクしながら給食を食べる子どもを出してはいけない。