保護ねこでねこカフェを作る

『ネコリパブリック』代表の河瀬“首相”。著書に『ネコリパブリック式楽しい猫助け』(河出書房新社)がある

 大阪・心斎橋にあるスタイリッシュな5階建てのビル。ここは1棟まるごとが保護ねこのための複合施設『ネコリパブリック大阪心斎橋店』、通称「ねこビル」だ。1階は飲食のためのカフェバー、2階はねこグッズ売り場、3階は保護ねこカフェ、4階は寝転がれるキャット&ベッド&ブック、5階はねこ在住のオフィス、屋上はパーティースペースとなっている。

 取材に行った1月某日の午後は、学生風の男子から若者カップル、おばさま3人組など多彩な客が出たり入ったり、平日というのになかなかのにぎわいだ。大好きなねこに会いに来たとあって、みんな、顔がほころびウキウキとした気分が伝わってくる。

『ネコリパブリック』、日本語で「ねこ共和国」の同店では、代表・河瀬麻花さんの役職名は「首相」。'14年オープンの岐阜店を皮切りに、大阪、東京など全国で計7店舗を運営している。カフェにいるねこは、譲渡先が見つかりにくい大人の保護ねこばかりだ。

「保護主の自宅まで会いに来る希望者はあまりいないし、ケージに入れて譲渡会に連れて行くと、人懐こいねこでも片隅で身を硬くして震えるばかり。それで、商売として存在するねこカフェに保護ねこを置いて、性格や個性に触れられる出会いの場になったら、保護主、希望者、ねこの三方良しだと思って」(河瀬さん)

 カフェに来る人から入場料をもらい、グッズを買ってもらうことできちんと収益を上げる。寄付もありがたくいただくが、続けていくためには、ビジネスとして成り立つことが必要。そのために、ねこが過ごしやすいだけでなく、おしゃれで楽しい雰囲気を目指し、できるところはスタッフや協力者とDIYしながら作り上げた。かわいくて心躍るねこグッズをたくさんそろえ、購入すると、ねこのために寄付もできる価格を設定した。

「ここに来れば楽しみながら、誰でも気軽に“ねこ助け”できる。そのことをもっと広く伝えていきたいんです」(河瀬さん)

わが家に迎える保護ねこと出会う場

 ほとんどの人が保護ねこカフェと知ったうえで来店、そのうち、ねこを飼いたいと探そうとしているのは3〜4割。ねこの数は店舗によって異なり、取材の日、大阪心斎橋店にいたねこは23匹。いずれも個人や団体から預かった保護ねこだ。最初のうちは人に慣れず触られるのを嫌がるねこも、スタッフの献身的な世話を経て、次第に甘える仕草を見せるようになる。訪れる客は楽しいひとときを過ごせるはずだ。

 何度か触れ合って「この子を家に迎えたい」と思ったら、ネコリパブリックに譲渡の申し込みをして審査を受ける。自宅の図面を提出し、A3用紙2枚にわたるアンケートに答えると、家族構成や留守の時間といった情報をトータルに考慮して、そのねこの性格に合う飼い主か、生活スタイルかどうかがスタッフにより判断される。

「例えば、寂しがり屋のねこが留守の長いお宅にもらわれても、お互いに幸せになれません。ここで2匹を気に入って一緒に連れて行きたいと言っても、ねこ同士の相性が悪ければムリです。逆に、とても仲がよい子がいたらセットで、とお願いして、検討してもらう場合もあります。保護ねこは、みんな大変な経験をしてきているので、できれば1度の譲渡で一生幸せになってほしい

 と、河瀬さんは言葉に力を込める。