
モンゴルから海を渡り日本にやって来た少年は相撲界を席巻。幕内優勝回数・通算勝ち星で歴代1位の大横綱となり、再度、海を渡る─。
「日本相撲協会を退職した前宮城野親方で元横綱・白鵬さんが6月9日、都内で会見を開きました。元力士からも“クビ同然”や“ありえない”といった声も上がりましたが、そこに至るまでの経緯などの核心部分については語らず。一方で協会などに対する“恨み言”などもありませんでした」(スポーツ紙記者)
世界的な相撲の普及

白鵬は引退後、13代宮城野を襲名。宮城野親方として師匠を務めていたが、弟子による暴力問題で宮城野部屋は閉鎖。伊勢ヶ濱部屋に転籍し、部屋付きの親方として指導にあたっていた。
「会見には白鵬さんの宮城野株を継承し、宮城野親方となった前伊勢ヶ濱親方の元横綱・旭富士さんが同席しました。年長者を立てる姿勢の表れ、もっと言えば殊勝なイメージの演出でしょう」(相撲ライター、以下同)
今後の活動として、日本国内にとどまらない世界的な相撲の普及、そのためのイベントの構想を会見で語った。
「『大相撲』ではなく、『SUMO』を広めたいと。朝青龍さんのように角界から離れて生きるのではなく、今後も相撲に関わっていくのなら協会とは敵対しないほうがいいのは間違いない。批判を封印し、年長者への敬意を表した、“大人”の会見だったのでは。ある意味、協会よりも未来の相撲界を考えているともいえます」
しかしながら、一部のメディアでは白鵬が“逃げた”“降参会見”などと取り上げられた。
「いわばメディアにとって“面白くない会見”だった。会見では協会に対するドロドロの恨みつらみを期待するような質問をする記者もいましたが、白鵬さんはそういった過去よりも今と未来を見据えての会見だったと思います。
もちろん本心で納得いかないところは今でもあるはず。でも、“いがみ合っても得がない”という判断をしたのだと思います」
現役時代の白鵬は、協会幹部たちの神経を逆なでするようなガッツポーズ、肘打ちのようなかち上げ、軍配に対して不満を表すような“物言い”など反抗的と取られても仕方のない振る舞いがあったことは間違いない。
「そのあまりの強さから不遜になっていた面は確かにあったと思います。しかしそれらがより軋轢を生み、得ることがないことを学んだゆえの今回の会見だと感じました」
変わらないのは……。
「メディア関係者も協会と同様に、現役時代の姿がチラついて白鵬さんをよく思わない人は一定数います。“態度”によってメディアに嫌われるアスリートはスポーツ界では珍しいことではない。しかし、その発端はメディアによって発言を曲げて伝えられたりした過去があったゆえ、といったことも多いのですが」
相撲、そしてSUMOの未来は─。