インバウンドの増加もあり、全国で観光公害が問題になっている。
今年1月には北海道美瑛町で、CMのロケ地に使われて有名になった観光名所『セブンスターの木』近くにあるシラカバ並木が周辺にある畑への無断侵入や路上駐車が問題になり、伐採を決断。
富士山とローソンというギャップある写真が撮れることで外国人観光客が殺到した、山梨県富士河口湖町にある「ローソン河口湖駅前店」も、町が対面の道路に目隠しのための黒幕を設置する事態に。ワイドショーでも連日報じられ、マナー違反をする観光客に批判が殺到した。
市では観光スポットとして紹介していない
SNSの定着で観光名所として整備されていない“映えスポット”に観光客が殺到する事例が増えているが、静岡県菊川市にある「平尾イチョウ並木」と呼ばれるスポットでも、迷惑行為が相次いでいるという。
12月12日に『静岡新聞DIGITAL』に配信された『“映え写真”求めて車、車、車... 菊川の人気スポット「平尾イチョウ並木」 縦列駐車300mに悩む住民たち』という記事では、菊川市中内田にあるギンナン畑に観光客が殺到。隣接する市道を占拠する縦列駐車の問題を取り上げている。
「全国的にはまだまだ穴場ながら、東名高速の菊川インターチェンジからもそう離れていないこともあり、最近は他県ナンバーの車も目立つようになっているようですね。Instagramでもここで“映えスポット”を撮影する若い女性やバイカーが増えてきています」(トラベルライター)
Googleマップでも「平尾イチョウ並木」として登録されており、クチコミ数は106件。5点満点中4.3点と高評価となっている。
そこで菊川市に人気になったきっかけや今後の対策について聞いた。
「(人気になり始めたのは)およそ5年前と認識しています。イチョウ並木で撮影した写真が市観光協会の主催するフォトコンテストで入賞してから徐々に注目を集め、その後個人のSNSなどを通して人気のスポットとなりました。民間で所有しているギンナン畑であり、周辺に駐車場もないため、市では観光スポットとして紹介はしておりません」(商工観光課担当者、以下同)
今シーズンの見頃はすでに終了したものの、来年も多くの観光客が訪問すると思われる。今後の対策については、
「周辺に駐車場として使えるような場所がないのが現状です。対応については検討していく予定です」
迷惑行為が続くようであれば、北海道美瑛町のシラカバ並木のように「伐採も検討するのか?」という質問には、
「民間で所有する農地ですので、市が伐採等を行う予定はありません。周辺に駐車場がないため、訪問の際は交通マナーを守っていただきたいです。また、所有者のご厚意で開放している(立入を制限していない)状況ですので、今後の栽培に影響を及ぼさないようご注意願います」
とのことだった。路上駐車が問題になっている道路は、地元農家や住民が日常的に使う場所。「平尾イチョウ並木」に限らず、観光地として整備されていない場所を訪問する際は、地元住民に迷惑をかけない範囲で楽しんでほしいものだ。
















