■落ちる家庭・受かる家庭

 白百合学園高等学校から、東大や早慶に進学し、社会で活躍した白百合学園の名誉卒業生と、その卒業生が選んだエリートなご主人。

 こういった典型的な“成功例”は幼稚園入試で落とされることが多い。むしろ、はっきり言えば白百合は、このような夫婦と子どものことがあまり「好き」ではない。

 それは園の方針として、子どもたちがモンテッソーリ教育に初めて触れ、ゼロの能力で「お仕事」をすることをモットーとしているからだ。新鮮でキラキラした目で、初めてのお仕事に取り組み、覚え、持続する。これが教育者サイドの醍醐味らしい。

 優秀な両親を持つ子どもであれば、地頭が優れている場合も多い。こういった子の場合、先生が「お仕事」のやり方を教える前に初見で理解して自分で進めてしまい、“はいはい、もう分かる”と真剣にお話を聞かない。そして、課題を終えた途端に興味がなくなり、コロコロと「お仕事」を変えてしまう……。

 逆に合格するような家庭は、白百合学園の卒業生でも、白百合女子大やそのほか短大などに進学し、専業主婦になった社会人経験が少なめな母親。そして、父親もメガバンクや総合商社などに勤務するエリートサラリーマンでない場合が多い。いわゆる、“ごく普通の家庭”の両親が好まれる傾向にあるようだ。

■白百合に渦巻く“嫉妬”とは

白百合学園幼稚園を卒業した子どもたちは、そのまま同敷地内にあるこの小学校に進学する
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 教員の中には、白百合の卒業生もいる。

 彼女たちは幼稚園教論資格を取得を専門としている短大や専門学校に進学していることが大半だ。こういった卒業生たちは、白百合系列の高校のなかでも学力的に最下層のグループであることが多い。

 '17年に白百合学園が公開している最新データでは、白百合学園高校から白百合女子大に進学した生徒は全172名中たったの9名。それ以外の多くは東京大学をはじめとする国公立大(18名)や私立大の医学・歯学部(35名)や早慶・上智(41名)などに進学している。

 一説によると、白百合を卒業した教員は、東大・早慶に進学してバリバリ仕事をしていた同級生や先輩・後輩には劣等感があり、その娘を預かり、娘だけでなく、保護者にも指導をするのは、嫌悪感があるのだという。

 保護者が白百合の卒業生でなくても、一流大学を卒業していなくても、有名企業で働いていなかったとしても、ある意味で公平にチャンスがあるのが白百合学園幼稚園のお受験なのだろう。

 ちなみに、子どもが幼稚園に受からなかったOGのうち多くは、小学校受験にも立ち向かう。しかも、そのうちの1/3くらいは落とされた恨みをリベンジするかのごとく、慶應幼稚舎(*慶應義塾大学の系列小学校のこと。詳しくは関連記事を参照)や青山学院、学習院など難関校からの合格を勝ち取っているケースも多いそうだ。

 結局、白百合幼稚園に合格して系列の高校まで進学したところで、生徒たちの多くは大学受験で東大・早慶などの難関大にチャレンジすることになる。

 やはり、合格と同時に大学までの進学が保証される(慶應)幼稚舎受験にはそれなりの価値があるのだろうかーー。


<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。港区で生まれ育ち半世紀を過ごしている。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。