フタトゲチマダニ(国立感染症研究所提供)
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 怖いのは外来生物だけではない。ヒアリ以上に注意したいのが『マダニ』だ。日本中どこにでも生息している身近な生物で、春から秋にかけて雑木林や草むらで活発に活動する。大きさは1ミリほどだが、人や動物の皮膚に張りつき、吸血すると1センチほどにまで膨れ上がる。このマダニが原因の健康被害は後を絶たない。

「病原体を保有しているマダニにかまれると感染症を引き起こすおそれがあるのです。特に気をつけたいのが、マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)です。現段階では、有効な治療薬や治療方法はありません」(厚生労働省・担当者)

 今年もすでにSFTSで4人が命を落としており、先月も広島県三原市の90代の女性が死亡した。国立感染症研究所によると、昨年1年間に57人が感染し、8人が死亡しているという。その被害は西日本を中心に広がっている。

「SFTSウイルスを保菌したマダニは青森県くらいまでいるといわれています。感染者が報告された北限は、現在は石川県ですが今後、北上する可能性はあります」

 と、SFTSの治療薬を研究する愛媛大学の安川正貴教授は指摘する。

 厚生労働省の資料によると潜伏期間は6日~2週間程度。SFTSウイルスの治療薬開発を行っている長崎大学熱帯学研究所の早坂大輔准教授は、

「発症すると、発熱や嘔吐の症状が現れます。この段階で回復することもありますし、重症化するおそれもあります。重症化すると消化器官などから出血を伴うこともあり、ほかにも病名のとおり、血小板が減ったり、多臓器不全となり命を落とす場合もあるのです」

 と、説明する。さらに、

「年齢が高いほど重篤になる傾向にあります。10代20代も感染する人はいますが、少ないし死亡者もいません。重症化するのは50代以上、亡くなる人は特に70代以上の高齢者が被害に遭っています」