古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第31回は鮫肌文殊が担当します。

田中直樹 様

 長年、TVの世界で飯を食っていると、ありとあらゆるパターンの番組を見知っており、同業者のやった企画で「この企画、やられた!」と悔しく思うことなんてなかなかないのであるが、最近、TVマンが2人以上集まると「アレはやられたな」という話になるのが『池の水ぜんぶ抜く大作戦』(テレビ東京系)という番組である。

『池の水ぜんぶ抜く』MCのココリコ田中直樹

 見たことない方のために番組概要をホームページから引用すると、

「危険生物に悩まされる近隣住民のSOSに出動!外来種が大量発生し困っている池の水を全部抜き、そこには何が潜んでいるのかを大調査!そこには予想だにしない生物の姿が!??」

 2017年、いわゆる世間的にバズった番組というと、ナスDのアナーキー過ぎるロケが話題となった『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日系)と、ネット番組史上、空前のビュー数を叩き出した『亀田興毅に勝ったら1000万円』(AbemaTV)だと思うのだが、『池の水ぜんぶ抜く大作戦』も負けてはいない。なんせ、9月3日の第4弾の放送がNHKの大河ドラマ『おんな城主 直虎』を視聴率で上回って、テレ東内が上を下への大騒ぎになっているのだ。

 私、裏番組の『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)を担当してたもんで、ライバルを研究する意味で録画してじっくり分析してみた。分かったことは、タイトルに偽りなし。全編、「池の水を抜いて中から何が出てくるか?」のワクワク感のみにBETしている、超シンプルな演出の潔さがすべて。

 しかし考えるに、よくもまあこんな一点突破なザックリ企画を通したものである。さすが、いつも「タイトルを読めば内容が全部わかる番組企画を募集」しているテレ東らしい

 バラエティーで「これやるとそこそこ数字が見込める」企画に、「深海魚の捕獲」と「開かずの金庫を開けてみる」ってのがある。どちらも「何が出てくるんだろう?」というワクワク感を刺激するTVの原点みたいな企画。

 同じく『池の水ぜんぶ抜く大作戦』は、そのワクワク感を最大限に刺激してくれるビックリ箱のようなものなのだ。

 番組MCのロンブー淳とココリコ田中直樹のコンビも良い。特に生き物好きの田中くんの素直なリアクションは、シンプル過ぎるゆえ、時に単調になりがちな番組において効果的なアクセントになっている。

 よって今回は田中直樹さんに「池の水もっともっと抜いてリアクションしてほしいぜ」賞を勝手にあげて表彰したい。

 大晦日、紅白の裏で「池の水ぜんぶ抜き生中継」とかやらないのかな。

 レギュラー化のウワサもあるこの強力な番組、自分の担当してる番組の裏に来るのだけは勘弁してほしいものである。


<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんじゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝け!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)、恵比寿頭バー「歌謡曲主義」(毎月第3火曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。

<鮫肌文殊からお知らせ>
鮫肌文殊率いる関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所、24年ぶりのニューアルバム『GREAT COCK HITS VOLUME2』が全国インディーズ取扱店にて絶賛発売中。なんとディスクユニオンのパンクチャートで5位にチャートインしたぞ! さらに関西レコ発ライヴも大決定。10月28日(土)なんばベアーズにて。絶対来てね!