松居一代さんの騒動を分析

 YouTubeで夫・船越英一郎さんの浮気疑惑を訴えた松居一代さん。ただし、裏づけがとれない内容で、「松居さんの妄想では?」と思っている人も多いはず。こういった松居さんのような言動をする人は、還暦あたりに多くなると春日さんは言います。

「ちょうど定年くらいの年齢になると、社会から必要とされなくなり、体力も落ち自分が急に凋落していくことに不安を覚えます。その焦りの反動として、ふだんからわだかまりを持っていたことがドッと被害妄想として出てくるのです。特に、これまで成功していた人は落ち目となっていく実感が大きくて、被害妄想が激しくなるのでしょう。松居さんもどこかに敗北感を持っているはずです。こういう人は病院に行って治るものではありませんし、そもそも、本人が病気だと思っていないので、診察を受けようとはしません。直接の攻撃対象になると大変ですが、相手にするとますます巻き込まれるので、周りは静観するしかありません」

春日さんからのアドバイス
□呪いを受け入れ、上手にごまかす、ダブルスタンダードで
□いい加減がよい加減。とことんまで、ものごとを突きつめない
□苦しんでいるようでいて、そのほうが楽だからあえてその状態にいる人もいる
□人の言葉を額面どおりに受け取らない

<プロフィール>
春日武彦(かすが・たけひこ)◎1951年、京都府出身。日本医科大学卒。産婦人科医として6年間勤務したあと、精神科へ移る。大学病院、都立松沢病院精神科部長、都立墨東病院神経科部長などを経て、現在も臨床に携わる。医学博士、精神科専門医。著書に『無意味なものと不気味なもの』(文藝春秋)、『幸福論』(講談社現代新書)、『精神科医は腹の底で何を考えているか』(幻冬舎新書)、『臨床の詩学』(医学書院)、『緘黙』(新潮文庫)ほか。