豚丼を食す千原ジュニア

 受験シーズン真っ只中、東京では4年ぶりとなる大雪に見舞われた。受験生はそんな悪天候にもめげず、勉強に精を出していることだろう。

 そんな彼らがどうしても気にしてしまうのが、ジンクスではないだろうか。

 新幹線を使って移動する受験生たちにとっての「富士山を見ると不合格になる」というものから「受験校の校門の前に五円玉を置くと合格する」「青いものを身につけると受かる」まで、最近では良い意味でも悪い意味でもさまざまなジンクスが存在するようだ。

芸人のなかで言われているジンクス

 かつて私がいたお笑い業界にも、多くのジンクスがある。

 以前ある番組で、ダウンタウンの松本人志さんが「食べるのが遅い芸人は、絶対売れない」と話していたが、これもそのうちのひとつだろう。

 吉本興業の芸人たちのあいだには、“ご飯は先輩がご馳走するもの”という暗黙の了解がある。そのため、ご馳走してくれた先輩に自分が食べ終わるまで待ってもらうのは当然ながら、御法度だ。後輩は先輩よりも先に食べ終わるのがマナーなのである。

 早く食べ終われば、次の店の手配もできるし、お会計の準備もできる。食べるのが早いということは、それだけ周りへの配慮ができているということにつながり、結果的に“空気が読める”という評価も得られる。

 それができる芸人は先輩から可愛がられ、食事に呼ばれる回数が増えるばかりではなく、誕生日会や旅行など、プライベートなお付き合いが増えていくことになるだろう。

 過去、私が松本さんの食事会に呼ばれた際に『すべらない話』のプロデューサーさんが同席していたことがあった。そこでもしハネていたら、番組に出演するという千載一遇のチャンスを掴むこともあり得たわけだ……。

 ゆえに「食べるのが遅い芸人」はそういう機会が与えられなくなり、売れるステージから徐々に遠ざかる。松本さんが言っていた話は、たしかに的を射ているのかもしれない。