とはいえ、実際に父親が育休を取ることは、社会的、文化的に、大々的に歓迎されているとは言いがたい。

 たとえば、ニュージャージー州に住むメーブルとジョージ・シメオン夫妻は2人目の娘を家族に迎えるにあたって、ジョージが育休を取る決断をした。彼はアメリカで2番目に大きな銀行で、マネジャー兼バイスプレジデントとして働いている。同行では、父親に対して3カ月の有給の育児休暇を認めている。

 しかし、上司に相談を持ちかけると、「上司は、フルに休暇を取るとキャリアが傷ついたり、制限されることが過去にあったということを示唆した」と、メーブルは話す。この上司の論理的根拠は、3カ月も仕事をしなくていいのなら、彼の役割は決定的に重要ではなく、その役割は不必要になる可能性もあるというものだった。

育休取得は収入減にもつながる

 結局、ジョージは1カ月だけ育休を取得。本当は3カ月取りたかったという思いは残っているものの、1カ月でも娘と過ごせた時間はかけがえのないものだったという。家事や4歳になる長女の面倒をみることもでき、妻のメーブルを助けることもできたと感じている。

 一方、ジョージの同僚には、3カ月育休を取った「つわもの」もいる。彼はより給料の低いポストへの異動や、昇進の候補者リストから外れるリスクを取ったのである。シメオン夫妻の見立てでは、育休が取得できたのは、彼がジョージより役職が低く、彼がいなくても仕事が滞ることがなかったからだ。

『ジャーナル・オブ・ソーシャル・イシュー』は、男性が育休を取ることに関する悪いイメージについてある研究を発表している。オレゴン大学で父親について研究する社会学者のスコット・コルトレーン教授は、長期にわたって6403人の男性を調査し、家族を理由に休暇を取ることは男性の収入にマイナスの影響を与えることを見いだした。研究によると、男性の場合、キャリア全体で平均15.5%の減額要因(女性は9.8%)となる。

「『子どものほうが仕事より大切』という男性には、いまだに悪いイメージがあると、コルトレーン教授は話す。「要するにそれが、男性が受け取るメッセージなのだ」。