東京ドーム18杯分の汚染土を搬入

 原発事故により汚染されたものは、環境省が「除去土壌」(汚染土壌)と「放射性物質汚染廃棄物」(対策地域内廃棄物、指定廃棄物)に分類して処分している。

 除去土壌とは、放射性物質により汚染され、除染で集められた土のこと。対策地域内廃棄物とは、避難指示が出ていた原発周辺地域の廃棄物を指す。今年6月末までに約84万トン(除染廃棄物を含む)が処理されている。

 また指定廃棄物とは、日常生活の中で排出されるゴミの焼却灰、下水汚泥、稲わらや堆肥などに付着し、汚染された1キログラム当たり8000ベクレル以上の放射性廃棄物のことで、福島県内・県外含め21万トン以上(平成30年6月30日時点)が残る。

 除去土壌は、福島県内の除染特別地域(国直轄)以外の県内52市町村で601万立方メートル、福島県外の「除去土壌」は約33万立方メートルある(平成30年3月時点)。中間貯蔵施設の土壌貯蔵施設には、福島県内の汚染土が、環境省の推計で2200万立方メートル搬入される見込みだ。これは東京ドーム18杯分にあたる量だという。

 '16年に毎日新聞が報じた、環境省が設置した汚染土の減容・再利用に関する非公開会合の内部資料では、こういった再利用事業は170年の管理が必要だと専門家が指摘している。

 前述のとおり、再利用に向けた計画は'16年に報道され、すでに福島県南相馬市小高区で盛り土構造物の実証実験が行われている。その後、同・二本松市では道路の資材に、栃木県那須町、茨城県東海村では埋め戻しの実証実験を行うと報じられた。使用される汚染土は8000ベクレル/キログラム以下。これは本来、廃棄物として処理する基準である。

 実証実験の進め方も強引だ。

 '17年12月。二本松市議会で突然、同市原セ地区才木で行う除去土壌再生利用の実証事業について、環境省から説明があった。年末には、原セ地区全体の約300世帯にお知らせの回覧板が回った。安達太良山の谷間にある、のどかな田園の一角の市道の下に汚染土を埋めるというその計画は半年後、急展開する。市議会最終日の議員協議会で、市長から請負業者との契約解除が報告されたのだ。

 事実上の撤回ーー。その理由を「複数回の説明会において、風評被害への懸念など多数の意見をいただいたことを踏まえ、現時点で事業着手できておらず、農閑期の道路工事など、計画どおり工程を進めることが困難となった」と環境省は説明している。