「日本で技術学びたいです。働くために私、来ました、帰れと言われても帰れません」

 中国人技能実習生の黄世護さん(26)は、3本の指が欠けた右手を見せながら訴えた。

 来年4月からの外国人労働者の受け入れ拡大をめざす出入国管理法改正案の国会審議が今週にも始まる。しかし、国内では外国人技能実習生の失踪が相次いでいる。昨年は7089人と過去最高の失踪者が生まれ、今年も6月までで4279人と昨年を上回るハイペースで推移している。

 冒頭の黄さんら実習生が労働実態を報告する野党合同ヒアリングが8日、国会内であった。涙まじりの報告に“もらい泣き”する議員もいた。

 実習生を支援するNPO法人『移住者と連帯する全国ネットワーク』の鳥井一平代表理事は、

「現状の技能実習制度は奴隷労働と同じ構造。これを改める議論もなく、外国人労働者受け入れ拡大に舵を切るのはおかしい。技能実習生の受け入れシェルターもほとんどない現状です」

 と、現状の問題点を明かす。

 外国人技能実習制度の実態から目を背けたまま、新制度の議論は始まろうとしている――。

「私は物じゃない」

黄世護さんは生々しい傷痕を見せてくれた

「働きたいのに(指にケガをしたから)帰れと言われました。働きたいのに、なんで私、帰るんですか」

 黄さんは'15年12月に来日、岐阜県にある段ボール製造工場で働いていた。'16年7月、作業中に手を機械に挟まれて指3本を切断してしまう。

3本の指が失われた黄世護さんの手

 2か月入院する重傷だったが、治療を終えた黄さんに告げられたのは、まさかの解雇通告だった。

「(解雇の書類に)サインしろ、と何度も迫られました。私が(指を失って)使いものにならないからでしょう。私は物じゃないですよ。人間です」