花粉症にはトマトジューズとヨーグルト

 清潔で住みやすい環境が原因とあっては、それを根本から断つのは難しい。とはいえ、対策はある。大谷先生によれば、身近な食品にアレルギーへの予防効果が見込まれているという。

「例えば花粉症の場合、トマトジュースやヨーグルト、柑橘類のジャバラに有効性を認める報告があります。トマトジュースに含まれるリコピンは症状を抑制するという報告が。またヨーグルトは免疫バランスを整えてくれます。

 ジャバラに含まれるナリルチンは、抗酸化作用のある色素・フラボノイドの一種で、抗ヒスタミンというアレルギーを抑える成分です。

 また、喘息にはコーヒーの効果が期待できます。カフェインに気管支拡張作用があり、1日3杯以上の飲用で症状が28%低下したという報告もあります

 もちろん、アレルギー症状を引き起こす物質─花粉症の場合はスギやヒノキといった花粉、喘息なら気道に炎症を起こすハウスダスト、ダニ、カビなど─を極力避けることが重要なのは言うまでもない。

 実際に症状が出ているなら早めの治療が望ましい。

 花粉症の場合、1日1回の薬の服用で症状が十分に抑えられ、従来に比べて眠気も抑えられるようになってきた。さらには舌下免疫療法という治療法も登場。

 '14年からスギ花粉による花粉症に、翌年からはダニアレルギーにも健康保険が適用されている。

「アレルギーの原因となる物質を毎日なめることで身体を慣らし、症状が出ないように体質改善するという治療法です。また、ワクチンの開発も進められていて現在、臨床試験中。10年以内には実用化されると思います」

 喘息治療も進化を遂げている。吸入型のステロイド剤が進化・改良され、喘息で死亡する患者数は、この30年で6000人から1500人程度まで減少しているという。それでも症状が改善されない重症患者には、最先端のバイオテクノロジー技術によって生み出された『生物学的製剤』が使われることも。これを使った注射薬が'09 年から保険適用されている。

 アレルギーは1疾患だけかかるのではなく、ほかの疾患と合併することも少なくない。重症化する前に、早めの受診・相談を心がけたい。