まぎれもないセカンドレイプ

 純子さんには納得できない点がいくつもある。

「上半身裸の写真を15枚以上顔を入れて撮られました。通常は3枚程度で顔は写さないそうです。なぜ私のときだけ顔を写したのか。それに自分で服をめくらされる状態で写真を撮られました。普通はありえないやり方だそうです」

 判決内容にかかわらず、純子さんへの誹謗中傷はまぎれもないセカンドレイプ。

 無罪判決後、純子さん側にも12人の大弁護団が結成され、主任の上谷さくら弁護士は、「被害者をいわれなき誹謗中傷から守り、被害回復することが重要。被害者を支える体制を作り、控訴審で戦っていきたい」と話した。

 一方、医師側は3月27日、東京・足立区内で『外科医師を守る会』の無罪判決報告会を開き、医療関係者など119人が参加する大規模な集会となった。そこには佐田医師の姿も。取材には応じないという佐田医師の代わりに、柳原病院・外科部長で『外科医師を守る会』呼びかけ人の八巻秀人医師が、

「(佐田医師は)105日も不当に勾留されているわけですから」

 と、佐田医師を慮り記者の質問に答えた。

現場となった足立区の柳原病院

─(医師側が言うように被害者が)せん妄状態にあったとして、なぜ、その患者を当日に帰宅させたのか?

「麻酔の規定で4時間たったら正常に帰宅でき、4時間がたったのでお母さまの家に帰られました。被害者の方も“半年たったらまた先生(佐田医師)に診てもらう”というようなことをおっしゃっていました」

─被害者に対して謝罪なりのアクションは?

「被害届が提出されたので、直接のやりとりはできません」

 佐田医師の弁護団の黒岩哲彦弁護士は「せん妄対策は日本の医療界の課題」とし、「(せん妄によるものだから)女性が嘘を言っているとは思っていない」と答えた。

 医療用語に「QOL(クオリティー・オブ・ライフ)という言葉がある。患者や家族の「生活の質」を維持・向上させる考え方で、末期がん患者の苦痛を取り除いてその人らしい生活を送れるようにしてあげたり、望まない延命治療を強いることのないよう医療従事者側が配慮するときなどに使われる。患者目線で向き合う医療の理想だ。

 純子さんの場合、QOLは最悪だった。重篤な患者ではないがそれはまだ続く。