施設は新築2階建ての戸建てで、1階2階にそれぞれ5室ずつ居室があり、最大10人が暮らせる。スタッフは24時間常駐するが、外出時に付き添いはない。許可が下りればもう1棟建て、さらに10人を受け入れる計画で、同市内で最大規模だという。

渡辺裕之・原日出子夫妻はこの問題をどう考えるのか

 地域には、「おしどり夫婦」として知られている俳優の渡辺裕之(63)・原日出子(59)夫妻一家も居住している。

住民説明会には渡辺さんの姿がありました。3回ともすべて出席されていて、ビデオカメラを回していることもありました」(出席者)

 住民バトルに巻き込まれた形だが、関心の高さがうかがえる。自宅のインターホン越しに渡辺は、実に申し訳なさそうな口調で応じてくれた。

私も実のところ、事情がよくわかってないんですよ。(賛否を)お話しできる立場にはありません。みなさんが決定したことに任せています

建物の隣地には、住民の意見看板がある

 今年3月、横浜市に提出された約700筆の反対署名に、渡辺夫妻のものが含まれていたかどうかは不明だ。

 説明会は3月以降開かれることなく、市による紛争解決の相談対応と斡旋に、問題解決はゆだねられている。

 訪問介護で実績を積み、今回初めて障がい者施設の運営に乗り出す『モアナケア』の社長は、入居予定者について、

通院し、自分のことは自分でできる人です。基本的には自立し、仕事などにも行ける方です。介護や特別な支援が必要な方ではありません

 と説明したうえで、反対する住民の要求について、

障がいを公にするのは個人のプライバシーにもあたります。入居者にとって、ここは自宅です。家の中を見せますか? 住人の事情を伝えますか? 障がい者だからとそれを求めるのは差別です

 と不快感を示す。さらに、

説明会では“コミュニティーが壊れる”“地価が下がる”“ワケあり物件になる”という声も上がりました。一方で理解を示してくれた人もいました。長い時間をかけて理解してもらうしかないと思っています。一緒に地域の掃除をしたり、行事に参加するなどして地域とも連携をとっていきたいと考えています

 と幸せな決着を希望し、

「撤退はありません」

 と力強く断言した。

 反対派の「事業運営者の撤退がゴールだ」(60代男性)という主張とは温度差がある。

 前出・弁護士は、

「まずは旗(反対運動の幟)を降ろしてもらいたいです。刺激的な言動は障がい者の負担になります。地域で一緒に生活し実際の姿を見て、理解をしてもらいたい」

 横浜市の担当者は、

斡旋などの期日は決まっていません。両者がひざを突き合わせて対話し、歩み寄れる方向に導きたい

 と述べるにとどまった。

 運営会社にも地域住民にも新住民の障がい者にも幸せな結末を迎えるには相互理解と許容する心が不可欠だ。

※地域住民、運営会社、弁護士、横浜市などへの取材を基に作成。6月8日現在