一方、レイザーラモンHGさん、くまだまさしさん、ザ・パンチ・パンチ浜崎さん、天津・木村卓寛さん、ムーディ勝山さん、2700・八十島宏行さんと常道裕史さん、ストロベビー・ディエゴさんのコメントは、シンプルな謝罪に徹して、言い訳のような釈明はなく、保身を感じさせるところもありませんでした。

 ただ、だからと言って、疑いの目が晴れないのが、謝罪コメントの難しいところ。その理由は、ほとんどの人が「反社会的勢力とは知らなかった」「認識の甘さ」「確認不足」などの共通したフレーズを使っているからです。

 13人もいれば、「どこかあやしいと感じていた」「のちに逮捕されたことを聞いていた」などとコメントする人がいてもいいはずであり、ここまでそろうと「口裏を合わせたのでは?」と思われてしまって当然。彼らが言葉を扱うプロフェッショナルであるのなら、もう少し自分の言葉で謝罪の気持ちを示してもよかったのではないでしょうか。

最大の問題は「今後、彼らを見て笑えるか?」

 13人の芸人にとって処分の重さ以上に深刻なのは、人々が彼らを見て笑いにくくなってしまうこと。おそらく彼らは、謹慎期間を生かすべく、ネタ作りなどの努力を重ねるでしょう。

 しかし、どんなに面白いトークやギャグを用意しても、彼らの顔を見たとたん視聴者のテンションは下がり、テレビ番組であればチャンネルを替えられ、劇場であれば席を立たれてしまうという危険性があります。

 芸人による笑いに限らず、すべてのコミュニケーションの前提になるのは、受け取る側の姿勢。芸人たちはスタジオや劇場で「今日の客は重い(あまり笑わない)」などと言いますが、不祥事を見た人々の重さは想像に難くありません。彼らを見る人々が「受け入れよう」という姿勢を持たない限り、笑わせることは至難の業なのです。

 だからこそ会見を開かず、文字のみの謝罪に留めている現在の対応は、「その後もジワジワとイメージが下がり続ける」という意味でリスク大。もともと芸人は、声を出してしゃべるのが仕事なだけに、「悪いことをしたうえに、いったんウソをつき、さらにダンマリを決め込んだ」と思われてしまうと、ますます復帰後の活躍は難しくなるでしょう。

 今回の13人に、もし芸人という職業へのプライドがあるのなら、やはり自らの声を発して謝罪の気持ちを伝えるのが望ましいのです。そして、反省のときを経て復帰した際には、堂々とした姿で磨き直した芸を見せて、笑いを取ってほしいところです。


木村 隆志(きむら たかし)丸コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者 テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。