被害者も加害者もひとり

 2007年10月、小泉純一郎元首相の悲願だった郵政民営化がスタート。その影響もあってか、容疑者は配達職から保険の営業職に配置転換されたという。

「おとなしくて不器用ながらに頑張っていましたが、勤務先はずいぶん遠くなり、新しい仕事にもなじめずかわいそうでした」(同・地元関係者)

 容疑者はほどなく退職を決断。その理由はほかにもあると話すのは、容疑者の同級生の母親だ。

「最終的にはお母さんの面倒をみるために仕事を辞めたらしいです。定年まで働けば退職金をもらえたのにね。もったいないことをしたと思います。父親はすでに他界していて、母親も7〜8年前に糖尿病が原因で亡くなりました」

 きょうだいはおらず、以降は実家でひとり暮らしだったという。

「母親は生前、いつも“一志、一志”と呼んで、ひとり息子を可愛がっていました。晩年は“一志にまだ嫁が来ない”って心配していました」(近所の住民)

 なぜ話したこともない高齢女性宅を標的にしたのか。

「ひとりになるとよくないこととか、悪いことを考えてしまうのかね。接点は被害女性の次男と同級生ということぐらい。過去に何か嫌なことがあったのかもしれませんが、被害女性の夫と次男は早くに亡くなっており、長男が7年ほど前に病死してからは女性もひとり暮らしでした」(前出・同級生の母親)

 被害女性は「いい子と聞いていたんだけどねぇ」と困惑しきり。気味悪い犯行の動機の解明が待たれる。