――お子様も聖心に入れたいとお思いに?

「ええ、開業医の夫と結婚し、女の子を妊娠したとわかったときは、母と手を合わせて喜びました。そして、お腹にいる娘の未来予想図を思い描き、かつての私と同じ聖心の制服を着ている姿を想像するのは、まさに幸せに満ちた時間でした。出産予定日がわかり、まずは初等科時代の先生に“みこころ祭”で妊娠のご報告をしました。

 聖心は学校側が求める基準に達すれば、学校独自の特別な受験対策はしなくても合格ができます。そのため、幼稚園は聖心卒業生が好んで選ぶ、聖心と同じカトリック教育を受けられる枝光会幼稚園に入園させようと思っていました。

 そこで2歳からジャックの幼稚園受験クラスに入会し、準備を始めたときに、また妊娠が発覚してしまいました。娘の受験が終わるまで、第二子は考えていなかったのですが……。

 しかも男の子と判明した瞬間には、もうどうしたらいいのかわかりませんでした。私自身も姉妹でしたので、男の子の受験には縁がなかったんです。そのうえ、主人の親が男の子を身ごもったとわかると大喜び。医師にすると張り切りだしてしまいました。全財産を生まれてくるであろう後継者の男の子に残したいからと、娘の受験の予算も削られてしまいそうな勢いでした。

 義理の両親に、男の子の場合には学校は慶應幼稚舎か暁星でしょうか? と聞きましたところ、幼稚園や小学校から私立に入れる必要はない、中学受験から医学部を目指すようにといわれてしまいました。公立の男子ママになるなんて、想像もできませんでしたし、母親として中学受験を支えられる自信もありませんでしたので、慶應幼稚舎から慶應大学医学部を目指すコースと、暁星から医学部を目指すコースがあると、私の両親からも主人を説得してもらいました。

 家庭内での比重が息子に集中するなか、娘は幼稚園受験の年を迎え、結局は枝光会幼稚園を受験せず、3歳から通っていたプレスクールにそのまま残り、2年保育で暁星幼稚園の女子枠を受験しました」

――当初考えられていた枝光会幼稚園ではなく、暁星を受けられたと?

「この選択は弟のためです。弟を兄弟枠でスムーズに暁星幼稚園に入れるための秘策でした。暁星は男子校の幼稚園ですが、10人だけ女の子が入園できるんです。

 入園してからは、幼稚園行事は家族でフル参加、係も率先してお手伝いし、少し多めの寄付金をしました。娘の幼稚園生活は弟のためといっても過言ではないくらい、とても緊張した2年間となりました。在園中は、あえて息子は幼稚園にはいっさい連れて行きませんでした。園内でぐずって泣いてしまったら、入園するにあたってマイナスになってしまうかもしれないので」

――ご息女は暁星幼稚園を卒園された後、聖心の初等科を受けられたということですが、小学校受験に際しては、どのような準備をされましたか?

「娘の受験準備は、ジャックの聖心クラスを中心に、体操教室、個人の家庭教師の先生にペーパーを見てもらい、行動観察のお教室にも通いました。そして私の“活動”の甲斐もあってか、無事に聖心の初等科に合格いたしました」

――そして、ご子息も暁星幼稚園を受けられたのですね。

「娘の入学式後、聖心の制服姿を見せに暁星幼稚園にご挨拶に行ったとき、初めて息子も一緒に連れて行きました。もう3歳になっておりましたので、走ったり騒いだりすることもなく、おとなしく姉の横に立っていました。園長先生、神父様からの印象もよかったようで、無事に暁星幼稚園に入園することができました。

 大学受験に向けての息子の教育については、経験者の主人と義理の両親に任せ、私は娘の聖心ママとしての生活をエンジョイしております。いずれ娘にも男性選びの帝王学はしっかりと教え込まないといけないですね」

<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design