この国の未来へ

 そんな中、6月4日に再び米軍機からの落下事故が発生。浦西中学校(浦添市)のテニスコートに、米軍ヘリからゴム製の部品が落ちてきたのだ。さらに、普天間や嘉手納基地(沖縄市、嘉手納町、北谷町)の周辺にある河川や地下水、湧き水から、発がん性が指摘される有害物質を検出した。

 水の汚染が発覚して以来、与那城さんは自宅近くの川から引くのをやめて、水道水に切り替えた。空も水も、暮らしがおびやかされる不安がつきまとう。

 とはいえ、地元で声を上げるのは難しい。生まれたころから基地があり、騒音で電話が聞こえない、テレビのいいところで画面がちらつくのが日常。家族や親戚が基地で働いていたり、米兵との“ハーフ”の友達がいたり、基地と密接した生活がある。

「地域のしがらみや、どうせ変わらないというあきらめもあって、声を上げられない。周りの空気を読んでしまう。私たちはLINEグループで声を上げたお母さんや、それに賛同するみんなが近くにいたから、やってこれた。沖縄の人にとって、それだけ基地の存在は威圧的で、もの言えぬ環境を作っているのだと思います」(知念さん)

 子どもの命や安全に異論を唱える大人は、まずいない。

「同じ憲法の下にいるのに、沖縄の子どもの命や生活は危険と隣り合わせで、平等に扱われていません。普天間基地を飛び立った米軍機は日本中を飛ぶ。もし自分の子どもだったら、と想像して、この国で生きる子どもの問題として考えてほしい」(宮城さん)