9月いっぱいでフジテレビを退社することを発表した笠井信輔アナウンサー(56)。現在、レギュラー出演中の情報番組『とくダネ!』の司会を務める小倉智昭(72)の事務所に所属し、フリーアナウンサーとして歩むという。

 局アナ出身者がフリーアナウンサーとして活躍するフィールドはメディア業界が主になるが、

「テレビ局は基本的に自局のアナウンサーを使う、外部を使う場合は数字(視聴率)を持っている人間、というのが最近の傾向です。仕事量が増えているわけではないので、フリーの人間がひとり増えれば、仕事を失う人がひとりできてしまう玉突き状態になるだけ」

 そう指摘するのは、テレビ誌中堅編集者だ。単なるアナウンス技術だけではなく、タレント性、専門性が求められるフリーアナウンサー、キャスターが生き残る世界。

強力なライバルの出現

「笠井アナにはその専門性がある。強みです」

 とはスポーツ紙の芸能担当記者。

「彼の映画業界への食い込み方は半端ない。小さな配給会社のパーティーにも顔を出すし、自局の映画のイベントがあれば、司会役に率先して手を上げていた。

 フジテレビと無関係の映画のイベントにも出席し、飛び入り司会を買って出て局内で問題になったこともあります。昨年、大ヒットした『カメラを止めるな!』のイベントで、ハプニング的に司会をやったことがありました。当初、その映像をDVD化されたときに使う予定だったそうですが、局内の許可が出ずにお蔵入りになったそうです」

 本人曰く、年間に見る映画の本数は約150本、舞台が約100本というから、評論家に準ずる本数だ。

「笠井アナがフリーになることで波風が立っているのが映画業界です。1本の映画ができると、公開までに完成披露試写会などのプロモーションイベント、公開初日の舞台あいさつ、公開後も大ヒット御礼舞台あいさつなどがあり、そのたびに司会者の働き場所が生まれます。

 現在は映画パーソナリティーの伊藤さとり、元ニッポン放送のアナウンサーで現在はフリーアナウンサーの荘口彰久ら何人かでその席に座っていますが、笠井さんがフリーになれば強力なライバルになるのは必死です。1回あたり10~20万円のギャラになりますからね」(映画宣伝会社スタッフ)

 それだけではない。映画や演劇通としてテレビやラジオへの出演、映画や劇場パンフレットへの執筆、映画賞の審査員など、笠井フリーアナを待ち受ける明るい未来。

「映画会社や映画宣伝会社のスタッフと長年にわたり築いてきた太いパイプが、今後は生きてくるでしょうね」(前出・映画宣伝会社スタッフ)

 笠井アナの退社は、映画パーソナリティーや映画に強いフリーアナウンサーにとっては、強力な競争相手の出現になりそうだ。

<取材・文/薮入うらら>