タワマンは購入していい

タワマンは廃墟化しない。安心して“終の棲家”として購入していい」

 こう主張するのは、住宅ジャーナリストの櫻井幸雄さん。

「“積立金不足でマンションが廃墟化する”という懸念は、昭和の時代、低・中層階までのいわゆる普通のマンションの時代からありました。

 しかしこれは、最初の金額設定が甘すぎたのが原因。つまりは販売時、売らんがために積立金を安く設定していたことから発生した問題なのです。タワマンの場合、そういうことは今ではほとんどありません」(櫻井さん、以下同)

 タワマンは高額とあって富裕層の購入が多い物件だが、富裕層であればあるほど、自らの資産価値保全については実にシビアと櫻井さん。

 昭和から存在する積立金不足の問題も十分に勉強したうえで物件を検討するし、大規模修繕費が高額なことも、購入前からとうに折り込みずみだという。

 こうした用意周到な人々を相手にするだけに、販売会社はあえて当初から管理費と積立金で3万円以上と高額に設定し、大規模修繕を織り込んで販売していると櫻井さん。

 つまりは追加金が発生しないですむように、当初から積立金が高めに設定されているというのだ。

 タワマンだけに、昭和の時代のマンションよりも入居数はずっと多い。数の多さは積立金の潤沢さにつながる。大規模修繕時に積立金が不足するようなことはないと、櫻井さんは断言する。

「事実、私が大京アステージと住友不動産建物サービスが管理受託するタワマンを調べたところ、両社合わせて40棟ほどがすでに大規模修繕をしていましたが、追加金を集めたタワマンは1棟もありませんでした」

意識の高い入居者だからこそ、対策に余念がない

 では、2回目、3回目の大規模修繕も大丈夫なのか?

「確かに建物が老朽化すれば、修理箇所は多くなります。しかし、タワマン入居者には意識の高い、専門職の人が多い。例えば弁護士や建築士、税理士といった人たちですね。

 こうした人たちは資産であるマンションを守りたいという意識も高く、2回目以降の対策にも余念がない。例えば管理費を節約、積立金に組み入れるなどの対策です

 前述したとおり、居住者は管理費と積立金を毎月支払うが、タワマンの場合は管理費を多く徴収する傾向があるそう。

 共同施設の維持管理費やセキュリティー、エレベーターの維持管理などへの支出を賄うためで、通常、多めに見積もられているという。

「こうした管理サービス、例えば、利用者の少ない共用部分の維持費用をカットするなどで節約、お金を積立金に回すのです。そうして2回目、3回目に備える」