都内の部屋は壁に謎のシミが
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不本意な死を迎えた人と共存したい

 最初は周囲に心配された。

「呪われるんじゃないか」「祟(たた)られるんじゃないか」「変な死に方をするんじゃないか」

 そんなことばかり言われて、「ちょっと怖(お)じ気づきましたね(笑)」と言うが、実際には健康的に暮らしている。

 敬遠されがちな物件を探すわけだから、不動産業者に歓迎されているだろうと思いきや、そう単純ではないらしい。

「事故物件と確認したうえで借りようとすると、“その部屋は借り手が決まってしまいまして……”とウソをつかれることがある。僕は事前に現地に行って、まだ空き室だと確認しているのに。変な噂を立てられ、次の借り手が見つからなくなるリスクを避けたいんでしょう」

 見えざる恐怖と対峙する力みは感じられない。どう向き合っているのか。

「経済的事情などから安い家賃で住みたい人が、事故物件とわかったうえで周辺相場より安く住めるのは助かります。

 人はいずれ死ぬんです。歴史を振り返れば、戦争などで不本意な死を迎えた人は大勢いる。日本全国どこにでもいるはず。僕はそういう人たちのことを忌(い)み嫌わず、共存したいと考えています。自分だって、いつどこでどうやって死ぬかわからない。住んでいる家が事故物件になるかもしれないわけですし」

 達観しているのか、穏やかな表情が印象的だった。


《PROFILE》
まつばら・たにし ◎いわくつきの物件に渡り住むピン芸人。日常で起こる心霊現象などを検証し、体験を語っている。著書に『事故物件怪談 恐い間取り』『異界探訪記 恐い旅』(いずれも二見書房刊)。『事故物件怪談 恐い間取り』は映画化決定、今年8月28日公開予定