オーディションは「通過点」

「1年前と私自身は変わっていないけど、街で声をかけられたり、知ってくださる方が増えたのは、すごくうれしいことだと思っています」

 連続ドラマ『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』(日本テレビ系土曜夜10時)に、看護師の小沢真凛役で出演する森田望智(みさと)。

 昨年、世界配信されたネットフリックスのオリジナルドラマ『全裸監督』のヒロインに抜擢(ばってき)され一躍、注目される女優に。AV監督・村西とおるさんの半生を描き、村西監督を演じた主演の山田孝之の相手役で、AV女優の黒木香さんを熱演。作品の評判とともに森田の知名度もアップした。

 ヒロイン役はオーディションで射止めた。

「大学生になってからCM、ドラマとジャンルを問わずに、たくさん受けました。でも全然、受からない。“箸にも棒にもひっかかりません”みたいな感じでした(笑)」

 経験を重ねたことで心境やオーディションに臨む姿勢が変わった。

「お芝居のうまさとかではなく、求められているのは“この人の演技がみたい”と思わせられる人。それが何かを考えたときに、強い覚悟だったり、例えば歌でも、ただうまいより魂がこもっている人のほうが私自身も好きなので、そういうことを目指すようになりました。

 オーディションがすべてではなく通過点。ゴールに設定しなくなってからは(合否に)一喜一憂しなくなりました。人としてのあり方が大事だと思えた瞬間から、オーディションに受かるとは、どういうことなのか腑に落ちて、それからはお仕事をいただける機会が増えました」

 最終選考に残るようにもなり、そのなかでつかんだのが『全裸監督』だった。そのオーディションには、わき毛を描いて臨んだ。

「受かりたいとか、印象に残したいからということではないです。違うオーディションで(事前にもらった)台本にお弁当を作ってあげるシーンがあったときは、実際に作っていきました。それと同じで、わき毛とあったので“ないから描いていかなくちゃ”くらいの気持ちでした。自分がやれることは全部やって後悔なくできたと思えるためにやったら、大きな役に受かったという感じです

 朗報には実感がわかなかったという。

昔は、受かったと聞いては泣いて、落ちたと知っては泣いていたけど、そのときは涙も出ないほど信じられない気持ちのほうが大きくて、うれしさも戸惑いも、まったくなくて、間違っていませんか? と思うくらい。だんだん実感がわいてからは、うれしさもありましたが、自分に演じられるだろうか、と」