専門家が話す“オゾン”とは

 酸素原子が3つついた『O3』がオゾン。殺菌や脱臭などの効果があるため、浄水場など幅広い分野で利用されているという。

「高い殺菌力があるということは事実です。また、霧も含めた“オゾン水”が、コロナウイルスに対しても殺菌効果があることを示した学術論文も確かに存在します」

 そう話すのは、新潟大学名誉教授で、医療統計の第一人者と呼ばれる医学博士の岡田正彦先生。しかし、ASKAのオゾン水スプレーについては「きわめて危険」と警鐘を鳴らす。

 ppmというのは濃度の単位であり、ASKAの機械は5ppmの濃度のオゾン水を作ることができるのだが……。

「まず濃度が非常に高すぎますね。オゾンというのは自然界にも微量ですが存在しています。場所にもよりますが0.02ppmから0.05ppm程度。

 5ppmというのはものすごい高濃度。そのくらいの濃度のオゾンを人間に使うとどうなるかという厳密な検証データはありません。オゾンを使った治療に関しては、それ以上に効果があり、安全性も高い抗生物質がありますので、現在は行われていませんね」(岡田先生)

 またスプレー型という部分にも問題があるという。ASKAは動画で、「外から帰った方には、これでスプレーをかければ、一瞬で殺菌ができます」と語っていた。

「人間の肺の細胞を試験管の中で増やして、そこにオゾンを当てたらどうなるかという実験がありました。肺の細胞を死滅させてしまい、極めて有害だという結論でしたね。オゾンが細胞を死滅させるのは、いろんな複雑なメカニズムがあって、まだ正確にはわかっていないけれど、毒物として肺の細胞を痛めつけるという証明です。スプレーだと身体にふきかけたときに、直接吸い込むことになります。人体にとってきわめて有害だと思いますね」(岡田先生)

 オゾンを研究している特定非営利活動法人『日本オゾン協会』という組織がある。同協会が発刊している『オゾンハンドブック』の“ヒトに対する生体影響”という項目に、こんなデータがあった。

●0.1ppm程度から鼻、のどの刺激
●0.2~0.5ppmで視力の低下
●0.4~0.5ppmで上部気道の刺激
●0.6~0.8ppmで胸痛、せき
●1~2ppmで疲労感、頭痛、頭重、呼吸機能の変化
●5~10ppmで呼吸困難、脈拍増加
●50ppm以上で生命の危険が起こる
(特定非営利活動法人 日本オゾン協会発刊『オゾンハンドブック』より)

 ASKAは、「精製したオゾン水濃度を10分間2ppm以上で維持させることに成功しました。専門医師によれば、2ppmのオゾン水であれば、現在地球上のどんなウイルスをも死滅させることができるとのことです」と話している。

 2ppmのオゾンは、疲労感、頭痛、頭重、呼吸機能の変化が出てしまうという研究結果が出ているのだが……。