目次
Page 1
ー 子育てとは生涯かけて行うもの
Page 2
ー 誰しも踏み込まれたくない一線がある
Page 3
ー どものいい面を親が理解し、伸ばしてあげることが大切
Page 4
ー 子どもがしてほしくないと思う行動は自分もやらない

「子育てこそ、生きがい」と胸を張って語る秋川。子どものいい面を親が理解し伸ばしてあげることが大切、と語る。今、日本が抱えている少子化問題は、子育てに対する価値観の問題だとして、自身が行ってきた20年以上の経験を振り返りつつ、今の親たちへ贈る提言。

子育てとは生涯かけて行うもの

 ピアニストとして活動する大学3年の息子と、86歳の声楽家の父とともに、3人で共演した『千の風になって』がYouTubeで180万回再生を達成、話題となっている秋川雅史。2人の子どもの父親でもある彼は、自他共に認める子煩悩。「子どもの成長を片時も見逃したくない」と、子育てに並々ならぬ情熱を注ぎ続けている。

 子どもたちが大学生になった今も、家族全員同じ部屋で寝るほどの仲良し家族。いじめ問題、少子化、お受験など、日本を取り巻く子育ての課題について、秋川流の“熱すぎる”子育て論を聞いた。
   
子を持つ親にとっては、子育てこそが生きがいであり、人生の醍醐味なんです。それに気づいていない親御さんが実に多い。もったいないなぁと思いますよ」(秋川、以下同)

 子ども2人と妻との4人家族。長男は大学3年生、娘は大学1年生になり、共に成人したが、「今も子育て真っ最中」との意識を持ち続けている。

「子育てとは生涯かけて行うもの。子どもが50歳になっても60歳になっても、その意識は変わらないと思います

 OECD(経済協力開発機構)の2020年の調査によると、男性の家事・育児の分担割合はスウェーデンの43.7%、アメリカの37.9%に対し、日本は15.4%。世界的に見ても、大幅に低い水準だ。そんな中、秋川のように「子育てに全身全霊を注いでいる」と言い切る男性は非常にレアな存在といえるだろう。

話ももちろんだが、張りのある声でインタビュアーをも魅了 撮影/山田智絵
話ももちろんだが、張りのある声でインタビュアーをも魅了 撮影/山田智絵

でも僕の影響なのか、パパ友さんたちもどんどん育児に参加するようになってきて(笑)。だから今、僕の周りは育児熱心な方ばかり。子育てはひとりでやるものじゃなく、周りを巻き込んで一緒にやるものなんだと実感しているところです

 多くの日本人男性が子育てにあまり協力的でないのは、この国に娯楽があふれすぎていることも一因ではないかと考えている。

「グルメに旅行に趣味に、なんでも手に入る世の中ですし、繁華街では夜遅くまでお店が開いていますよね。でも仕事仲間と飲み歩きなんかするよりも、子どもと過ごす時間のほうが絶対に楽しいはず。

 どんな高級レストランだって、子どもと一緒に行くファミレスにはかないません。世のお父さん方にも、そのことに早く気づいてほしい。子どもはあっという間に大きくなってしまいますから

 愛媛県で生まれ育った秋川は、現在57歳。自身も幼いころから、親の深い愛情を感じ取っていたという。

父は声楽家で、高校の音楽教師でもありました。帰宅すると幼い僕を自転車の後ろに乗せ、近所をぐるぐると走ってくれたことを今でも覚えています。なんでも小さいころの僕はかなりかわいかったらしく(笑)、みんなに見せて自慢したかったんだと、あとから父に聞いたことがあります