願書の書き方についても、塾の指導法には従わなかった。
「親が書いた志望動機などを塾が添削してくれるんですけど、なんだか妙にきれいな文章に整えられちゃって(笑)。もちろん文章としては美しいんだけど、心に響かないんですよ。結局、自分が書いたものをそのまま提出しました」
どものいい面を親が理解し、伸ばしてあげることが大切
小学校の説明会に参加し、校風が長男に合っていると納得できた私立校を2校だけ受験。一方で、公立の学校にも良さがあると考えていたため、不合格だった場合は地域の区立校に通わせるつもりだった。結果、第一志望に見事合格。慶應義塾幼稚舎への進学が決まった。
「やはり学校側が重視しているのは、子どもの言葉遣いやマナーではないのだと実感しました。何もかも塾の言うとおりにするのではなく、自分の子どものいい面を親が理解し、伸ばしてあげることが大切だと思います」
一方、長女の小学校受験は学習院一本。長男同様、不合格であれば潔く地域の公立小に通わせるつもりだったが、こちらも見事合格した。
「学習院を選んだのは、完全に愛子さまの影響(笑)。本当に素晴らしいお方でしょう? 娘のちょっとしたことについて家内と相談するときも、もし愛子さまだったら、が基準になるんです。例えばヘソ出しルックを認めるかどうかについては、“愛子さまはきっとお召しにならないよね”といった具合(笑)」
長女と愛子さまは4学年違い。なんと保護者参観日に、当時の皇太子さまと雅子さまに校内で遭遇したことも。
「偶然にも廊下ですれ違うことになり、僕も慌てましたが、ご挨拶させていただいたんです。娘の音楽の授業を見に行くところだとお伝えすると、雅子さまが“あら、それは先生も緊張なさいますね”と笑顔で返してくださいました」
小学校から大学までの一貫校で、子どもたちはのびのびと、充実した学生生活を送ることができたという。
「もちろん、友達同士の小さないさかいはあったでしょう。幸いにもいじめとは無縁でしたが、大きな社会問題となっているいじめについて、いつも自分なりに考えてきました。まさに今悩んでいる方に、同じ親としてお伝えしたいことがあるんです」
子どもを守りたい一心で、相手の親や学校に強硬な態度を示す親は少なくない。だがそれは、絶対にやってはいけないことのひとつだと続ける。
「これをやってしまうと、何か問題が起きたらいつでも親が対応してくれる、と子どもが勘違いしてしまう。いじめを解決するのは、あくまで子ども自身。親は、最強のサポート役に徹するんです」
まずすべきは、子どもからの詳細なヒアリング。そのうえで、自分たち親は絶対的な味方であることを伝え、一緒になって最良の対策を考える。
「いちばん重要なのは、いじめっ子に対し、やめろと言える度胸を子どもに身につけさせてあげることです」
もちろん、学校との連携も重要だ。
「担任には親から連絡し、しっかりとした観察をお願いしつつ、共に解決への道を探ること。いきなり相手への厳しい指導をお願いするのではなく、時間をかけて密に情報を共有するほうが得策です」