新型コロナウイルスによる感染拡大の影響で、店頭のマスクが品薄になってから2か月以上たつ。

 菅義偉官房長官は1か月以上前の会見で「来週以降、毎週1億枚以上、供給できる見通し」(2月12日)と豪語。「3月は月6億枚超が確保される」(3月17日)と続け、同27日には4月の見通しとして、さらに1億枚以上を上積みできるとの認識を示した。

「月6億枚」に期待したが

 ならば、なぜ、私たちの手元にマスクが届かないのか。

 厚生労働省に聞くと、

「月6億枚を供給しているのは確かで、国内メーカーは24時間態勢で通常の3倍の増産を継続している」(対策本部マスク班)と回答。

 そこで、国内メーカーが加盟する全国マスク工業会の上部団体にあたる社団法人『日本衛生材料工業連合会』に6億枚の内訳を尋ねると、

「医療機関に行くのが生産量の3割ぐらい。残りが介護施設や食品業界、そして小売店などです。メーカーには例年の約4~5倍の受注があり、いつ、“コロナ以前”の状況まで回復できるかはっきりしたことは言えない。ただ、小売店への納品回数は増え、店頭に並ぶ機会も増えています。30分~1時間程度で売れてしまいますが」(担当者)

 同連合会の調べによると、2018年度の年間マスク量は、国内生産約11億1100万枚に対し、海外からの輸入は約44億2700万枚。

 菅官房長官は「平常時は輸入が7割、国産が3割。3月はその比率が逆転する見込み」と話しており、世界的感染拡大による中国などからの輸入減少が響いている。その分を国内メーカーがカバーしようと奮闘中だ。

 そもそも、「月6億枚」という数字に過度の期待をしてしまった感がある。実はコロナ以前の需要も「平均で月約3・6億枚」(前出のマスク班)と、そこそこあり、現在のマスク着用率をみると6億枚程度では足りなくなるのも当然だ。