「サイレント・キラー」とも呼ばれる歯周病

 歯周病の初期は自覚症状が乏しく早期の発見がしにくいため、症状に気がついたときには抜歯が必要な状態になっていることも珍しくなく、「静かな殺し屋」との別名が。さらに、歯周病は“骨をむしばむ病気”でもあります。

「体内に歯周病菌が侵入し勢いを増してくると、歯を支えている歯槽骨という骨組織にまでその被害が及んでしまいます。そもそも、骨は新陳代謝を繰り返して常に生まれ変わっている組織。骨の内部では破骨細胞が骨を壊し、骨芽細胞が骨を修復することを繰り返しながら、骨密度を一定に保っています。

 ところが、歯周病になると破骨細胞が異常に増殖して歯槽骨の破壊ペースが速まり、歯の土台となる歯槽骨が失われ、歯が抜け落ちてしまうのです

【図解】歯周病の進行 イラスト/とげとげ。
【写真】歯周病の進行度が30秒でわかる! セルフチェック表

歯周病は怖い病気とも密接に関係している

 歯周病は命に関わる病気を引き起こすこともある、怖い病気です。その原因を突きつめていくと、大きくふたつに分けられる。

「皮膚や粘膜のガードが崩れ、細菌などの微生物が血管内に入り込んだ状態を“菌血症”といい、病原性の強い微生物に感染し、重篤な病状になるのが“敗血症”です。歯周病菌は、これと同じことを身体のなかで起こします。血液に入った歯周病菌は血管を傷つけ、動脈硬化や心疾患など命を脅かす病気にいたることも」

 もうひとつの原因は、“TNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)”という物質。

「近年の研究ではTNFαが人間のさまざまな病気に影響を与えることがわかっており、その最たるものが糖尿病です。歯肉の血管から血液中へと流れ出したTNFαは毒性を発揮し全身に悪影響を及ぼします」

 つまり、さまざまな病いの予防や改善のためにも歯周病の治療は大切です。

 また歯周病菌は、“気道”からも体内に入り込みます。口の中にいる歯周病菌が食べ物や唾液にまざり、誤って肺に入ると“誤嚥性肺炎”も引き起こします。「歯周病って、歯ぐきがちょっと腫れる病気でしょ?」と甘くみて放置していると、大きな病気に見舞われる可能性もあるのです。

歯周病が全身へ悪影響を及ぼす! イラスト/とげとげ。