報道が出て2週間が経とうとしているが、アンジャッシュ渡部建に対する非難の声はなくなりそうもない。報道前に活動自粛。謝罪会見も開かず、雲隠れしたことが大きな理由となっている。ところが、『週刊文春』(7月1日号)で突如公開されたのが、渡部の独占インタビュー記事。世間を大きくを驚かせた。

『独占告白90分』というタイトルが付いているように、渡部は長時間にわたって取材を受け、女性たちと関係に至った経緯や謝罪、相方の児島や妻である佐々木希への思いを語っている。内容は想像していた通りのものだが、何よりも驚かされたのは、第一報ががあった日(6月11日)からわずか5日後に、何と砲弾を撃ち込んだ『文春』で取材を受けていることだ。

 思い返してみると、これまで『文春』で不倫を暴露された芸能人たち──ベッキー、東出昌大、鈴木杏樹の相手だった喜多村緑郎、元テレビ東京のアナウンサーの鷲見玲奈(彼女は疑惑だが)や “ステイホーム破り”の手越祐也も、報道された後に改めて同誌の取材に応じている。

 普通はスキャンダルを報じられた雑誌に対しては恨みしかない、という気持ちがあるはずだろう。

「改めて取材させてほしい」「インタビューをさせてくれ」と言われても、素直に受け入れ難い、というのが自然ではないか。反論や懺悔したいことがあれば競合他誌でやろう、と考えるのがこれまでの芸能界と週刊誌におけるセオリーだった。しかし昨今の『文春』がやっていることは、砲撃した後に、その“傷を塞いであげる”かのような不思議な話だ。

なぜ自分をスクープした憎き『文春』なのか

 老舗芸能プロダクションの関係者の幹部はこう語る。

「芸能人が週刊誌にスキャンダルを報じられるというのは世の常。しかし、記事の中身全部が事実とは限らないということもがあります。“だいたいは合っているがここは違うだろう”といったように。書かれた側にしてみれば、いい加減なことを書いた記者とは関わりたくないものです。ところが『文春』さんの場合は大きいネタであればあるほど、反論も弁解もする余地がないほどしっかり事実の裏どりをとってくるので“お手上げ”という状態の場合が多い。そこにインタビューのオファーがくるので、“信頼のおける媒体”として受けてしまうんです。また、他誌で謝罪するよりも世間に“誠意が伝わりやすい”という面もある

 また、現役の週刊誌記者は、

「他誌に芸能人の不倫が報じられると、“ウチから反論しませんか”とインタビューを持ちかけるというのは今もやっていますし、ひと昔前はスクープを出したところのライバル誌で独占インタビューをするというのは定番でした。しかし、最近は『文春』がスクープを出してインタビューまで全部回収するというパターンが目立ちますよね。渡部さんサイドもインタビューに応じることで第2弾・第3弾の報道を止めたいという思いもあるのでは?」

 と漏らす。昨年8月にも『文春』が “マツコ・デラックスが稲垣吾郎と共演拒否”と報じたとき、マツコは『週刊女性』誌上で猛反論をした。特に近年は芸能人がSNSで自分のメディアを持ち、反論コメントを出すというケースも目立つようになった。

 ここ数年で『独占謝罪』の流れが大きくかわりつつあるのだ。 

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。