挙手のノルマ制に苦しむ、紗季さんの訴え
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抜け毛、不眠、過食

 体育の授業にも疑念を抱いた。三密を避けるために、生徒同士がなるべく接触しないものに制限されたため、“走る”ことが授業のメインになっていた。

「もし途中で歩いたり、話をしたりしていると、(連帯責任で)みんなでもう一周、走ることになるよと、先生が言っていました。暑い日でも、先生は麦わら帽子をかぶって見ているだけ。ほかのクラスの先生は一緒に動いていたのに」(紗季さん)

 ついに体育の授業で、けが人が出てしまう。

「いろんな走り方の授業のとき、(片足で走るようにする)ケンケンをずっとしていたんですが、倒れてけがをした子がいました。翌日、その子はギブスをつけてきました。体育館でも(床の雑巾をかけるように、手は床につけて、足を伸ばす)ハイハイという動きをしていたんですが、体育館の壁にぶつかり、首にけがをした子もいたんです」(紗季さん)

 そんな友だちの姿を見たことも影響したのか、紗季さんは1学期からストレスが身体症状に現れてしまう。お風呂に入った後に、髪の毛が大量に抜け、不眠にもなり、過食にもなってしまった。

 心身ともに不調をきたしている9月8日の6限目(14時25分〜15時10分)。再び体育の授業でのこと。この日は100メートル走の計測することになっていた。1本目は歩いて距離を実感し、2本目は少し早めに走り、3本目が本番だった。しかし、測量ミスで130メートルあったという。この日の最高気温は34度(気象庁)。6限目は最も暑い時間帯であり、校庭での実際の温度は高かったと思われる。

 友梨さんはこの日、副校長との面談のため学校へ行っていた。そのとき偶然、紗季さんの体育の授業を目撃したという。

「校庭を見ると娘のクラスが体育をしており、100メートル走をしていました。走りきれない子もいましたし、足がふらつく子もいました。娘もいつもも違う様子でした。授業の終わりには水分補給をしないまま教室へ戻って行きました」(友梨さん)

 連日30度を超える日々が続き、一日中マスク姿。紗季さんの身体は限界を迎えていた。1学期からのストレスが祟り、帰り道に具合が悪くなり、帰宅後に倒れてしまう。そしてついに、紗季さんは翌日9日から現在に至るまで、完全に不登校となってしまった。