さらに、同年大みそかの恒例の「ジャニーズカウントダウンコンサート」。ここでも「マッチ35周年祭り」状態で、マッチが持ち歌を何曲も披露し、後輩ともコラボ。最後には黒柳徹子がステージに登場し、35周年を大々的に盛り上げるものとなった。前出のスポーツ紙記者は、苦笑交じりに言う。

ドームのファンも、ここまで『マッチリサイタル』状態になるとは思っていなかったでしょう。必然的に、ほかの後輩たちの出演の尺も削られたわけですから。今年はカウコンが開催されるかどうかまだ発表されていませんが、マッチが活動自粛となったので、あの悪夢の再来はないと安堵するファンもいるはずです」

マッチはジャニーズの絶対的象徴

 一時代を築いたアイドルではあったが、近年は目立った芸能活動もなく、ヒット曲もない。ドラマ出演もなければ、バラエティー番組に出ることもない。それなのに後輩総出で盛り上げる存在、「近藤真彦」とはいったい何なのだろうか。

「歌もダンスも、正直うまいとはいえませんよね(笑)。ただ、その存在感はすごいんです。存在感そのものが武器で、彼の魅力といっていいと思います。これは、誰もが持てるものではなく、天性のすごさですね。それでいて、人懐こさや親しみやすさも合わせもつ。そのギャップも、周囲にいる人たちにとっては魅力的なのではないでしょうか」(前出記者)

 その魅力を知る人たちから大事にされてきた。前出の芸能ジャーナリストは「ジャニーズがここまで大きな人気と力を持つようになったきっかけとなる存在だということは、間違いありません」と、その功績を語る。

 近藤真彦が人気を得たきっかけは、'79年から放送されたテレビドラマ『3年B組金八先生』(TBS系)の生徒役での出演。田原俊彦、野村義男とともに『たのきんトリオ』として、多くの女性を虜にした。

「それまでのジャニーズは、大スターがなかなか生まれず苦しい時期だったといいます。それを一気に変えた、たのきんの人気。元社長のジャニー喜多川さんや姉のメリーさんにとって、それはもう大きな大きな存在ですよ。メリーさんは常々『うちのナンバーワンはマッチ』と言い続けているように、絶対的象徴なんですよね」(同前)

 昨今、芸能活動を積極的に行わなくても「ジャニーズの象徴」という存在で、頂点に君臨し続けてきた近藤真彦。とはいえ東山紀之や、タレント活動から退いた滝沢秀明のように、後輩たちの面倒を定期的に見てきた姿は見られていない。

「ジャニーさんが亡くなり、メリーさんも退任。事務所の新たな一歩のためにも、そろそろマッチの威光をセーブするか、もっと後輩も交えた活動をするかといった部分もあったかと思いますが、結果的にセーブの方向になってしまったことは不思議な運命です」(同前)

 今後のマッチの活動についてはまったくの白紙だが、芸能活動を再開するとなったとき、そのバックに“後輩総出”の姿はあるのだろうかーー。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉