住民が我慢できず、行政に相談するも…

 の数が多くなるとまず問題になるのが排泄物。掃除もされず、糞は室内のあちこちに放置。おしっこは床や布団に染み込み、室内はすさまじいほどの悪臭だった。

『多頭飼育崩壊インターベンション』代表理事で動物愛護推進員(神奈川県)の河野治子さんは、

「近隣住民はコロナ禍だというのににおいを防ぐため換気もできず困り果てていました」

 近隣住民は保健所に相談するも、一家への直接的な指導はなし。

 その後も保健所や行政に苦情を入れ続けたが、行政は一家に対し、何も手を打ってこなかったため、状況は改善せず、は増えた。

 今年8月、事情を知った神奈川県内の市議会議員が石丸さんに相談。早川さん宅を訪れてア然とした。

早川さん(仮名)宅のキッチン。棚の上には複数の猫、床にはエサがばらまかれていた
早川さん(仮名)宅のキッチン。棚の上には複数の猫、床にはエサがばらまかれていた
【写真】荒れ果てた室内、棚の上にはたくさんの猫たちがぎゅうぎゅう詰めに

「当初20~30匹と聞いていましたが実際、中に入ったら100匹以上いることがわかりました。食器棚や作りつけの棚の上、あらゆるところにがいました……」

 エサは糞に混ざって土間のような床に散らばり、水は取り替えられることなく干上がり、皿にカビが生えていた。

「ひどいアンモニア臭で目も痛くなり、長時間の滞在は困難でした」(前出・河野さん)

 アンモニア濃度を測定すると計測不能をしめす99ppmオーバーを表示する部屋も。10~30ppmで健康被害が出るといわれているが、そんな状況下でと人間が同居していた。

 ほとんどのはアンモニアが原因で目や鼻からは分泌物を流し、栄養状態は悪く、脱水症状や皮膚炎などの病気を患っていた。