立ち上がった瞬間に何をしようとしていたかわからなくなる、人や物の名前がとっさに出てこないなど、脳の衰えを感じたら脳トレドリル! 認知症予防のためにも、「年のせいだから……」と諦めず、今すぐスタート!!

ドリルで認知症を撃退しよう

 65歳以上のおよそ7人に1人が認知症にかかるといわれる今。その症状の始まりは、ちょっとした「もの忘れ」。その時点で、脳の老化を防ぐ手はないのだろうか。

「研究が進んだ現在、『学習療法』に積極的に取り組むことで認知症の症状を劇的に改善させられることがわかっています」

 こう話すのは、東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太教授。『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の監修者としておなじみの、人の脳活動の仕組みを研究する「脳機能イメージング」のパイオニア。

「学習療法」は、川島隆太教授が公文教育研究会の学習療法センターと行った共同研究の成果として、2001年に開発。高齢者の脳機能維持や改善、さらには高齢者の認知症予防を期待して用いられている。

国内外で延べ11万人以上の認知症患者さんが取り組んでおり、『会話が通じるようになった』など、脳の機能の維持、向上を実感しています。私たちの脳は、いくつになっても働きを改善させることができ、改善させる方法は想像よりもずっと簡単なのです」

 脳の老化予防のために必ず取り組みたいのが、「計算」と「暗記」

「計算で『頭の回転力』を高め、暗記によって『頭の引き出しの数』を増やします。どちらか一方だけではなく、同時に行うことで脳の前頭前野が本来の働きを取り戻します。問題をサクサク解き進めていくことで前頭前野がよく使われるため、速さも重要」

 前頭前野は、考える、感情をコントロールする、新たに記憶をする、人と対話するなど、さまざまな能力をつかさどっている。

「いわば脳の中の脳ともいうべき重要なところです。この前頭前野を常に刺激し、活性化させることが、元気で健康な脳を作るための近道です」

 2つをできるだけ速く、繰り返し行っていくと、「ついうっかり」な場面が少なくなる、感情にまかせた衝動的な言動を抑えられるようになるなど、脳の機能にさまざまないい影響が。

「もし今、脳が衰えたと感じていても、機能そのものが失われたわけではありません。ドリルに全力で取り組むことで、脳の本来の働きを取り戻せるでしょう」