生活保護費は封筒ごと没収、
手渡されるのは1日1000円以下

 Aさんは生活保護受給日、ほかの入所者とともにマイクロバスに乗せられた。車の中で受給証と収入申告書、黄色いリボンを渡される。福祉事務所に到着すると、施設スタッフの監視のもと、窓口の前に並ばされた。Aさんが受け取った生活保護費は13万円弱。しかし、すぐそばにはスタッフが袋を持って待ち構えており、封を切らずに封筒ごとそのまま没収される。それと引き換えに黄色いリボンを外していいことになるのだ。

 Aさんが自由に使えるお金は、毎日渡される1000円のみ(日曜日を除く)だった。昼食が出ないので、昼食や生活用品などを買うとあっという間になくなってしまう。

「生活保護費12~13万円を支給されて、住居費と食費で10万円以上搾取されるというケースが多いです」と、高野さんは語る。

 朝食はご飯、味噌汁、漬物、納豆、夕食はレトルトカレーなどといった粗末な食事しか与えられない。しかも、井戸水は飲める状態のものではなく、沸騰させて冷ました水がポットに置かれてあったが、Aさんは飲む気にはなれず、徒歩10分の距離にあるコンビニでカップ麺を買うときに、店で熱湯を入れてもらったそうだ。

無料宿泊所Bのトイレ(Aさん提供)。屋外にしかないトイレは個別の小便器もなく、コンクリートの壁があるだけ
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 Aさんの場合には3畳の個室だったが、1.5畳の個室や、6畳に2段ベッドを置いて4人部屋にするような例もある。都内には20人収容の大部屋もあるという(ただし、現在はコロナ対策で12人に)。

 出入り自由な施設もあるが、Bでは外出届を出さなければならず、門限は21時まで。施設内には監視カメラが4台設置されていた。

 無料低額宿泊所での生活は、物理的な不自由さだけが問題ではない。特に相部屋暮らしだと人間関係のトラブルも少なくない。ヤクザまがいの人が牢名主みたいになって威張ったり、お金をせびったり、暴力を振るったりする。一日中酒を飲んでは暴れたり、ケンカばかりしている輩もいる。昼食代を抑えてでも酒を優先するのだろう。

 また、「住まわせてやっている」などと、スタッフからの言葉の暴力も日常的にあるようだ。Aさんが福祉事務所に相談すると、施設にケースワーカーがやってきた。そのスタッフも同席したため、Aさんは緊張してうまく話すことができなかった。ケースワーカーが帰ると、スタッフに呼び出しをくらい、怒鳴られた。

 入所者は中高年の男性が多い。Aさん曰く、Bのような劣悪な環境に身を置いていると無気力になる人が多いという。

「もう、人として終わっているなと思いました」

 Aさんは入所から2か月後、スポーツ新聞で相談会の告知を見つけ、施設から逃げた、その足で相談会にやってきた。その後は『反貧困ネットワーク埼玉』の支援で、市役所の手続きやアパート探しができることになった。