「場所や仕事内容によって、かかるお金や感染のリスクはまったく違いますよね。例えば、歌舞伎町は家賃がとても高くて、月に数百万円かかるケースもザラです。僕たちは受け取っていませんが、国からの協力金1日6万円をもらったとしても家賃分すらまかなえません。昨年よりもいろいろなデータがそろっているはずなのに、一年前と同じような時短営業の要請と一律6万円の協力金を支給するのは、あまり意味がないように思います」

 地域や店の規模など、それぞれの違いを考慮せずに一括りにするのは、あまりに乱暴。実際、彼が言うように多くの飲食店が国の要請に従って20時に閉店した結果、巷(ちまた)ではひずみが生まれている。

歌舞伎町ですら20時には大半の店が閉まるので、20時以降に開いているお店には行列ができて店に入れなかったり、店内がぎゅうぎゅう詰めになっていたり、かなり“密”なんですよね。むやみに営業時間を短縮するよりも、時間を制限せずに人が分散するような対策をしたほうが効果はありそうですよね

 時短制限の問題点は多くの飲食店が指摘しているが、残念ながら現場の声は政府には届いていない。

 心之さんは、新型コロナに振り回される世間の様子を目の当たりにして「いろんなことを学んだ」と話す。

「今回の一件で、自分自身の知識不足も含めて“人間の弱さ”が露呈したように思います。おそらく訪れたこともないホストクラブや歌舞伎町を叩いたり、感染した人を迫害したり、陰謀論が蔓延(まんえん)したり……。いずれにせよ、僕たちはこれからもお客さんに寄り添うのが使命なので、関係ない人たちにはあまり干渉しないでほしいな、とは思います」

 まだまだ新型コロナに翻弄(ほんろう)されそうな2021年。今夜も歌舞伎町の灯は消えない。

PROFILE●心之♂友也●1989年、大分県出身。ホストジャーナリスト兼アイドル研究家。大学卒業後、ホストとして働き始める。所属する日本最大のホストクラブグループ「グループダンディ」の売り上げトップに輝くこと数回。現在は歌舞伎町のホストクラブ「CANDY’S HEAVEN」の代表を務める。Twitterアカウント(@tcocorono)。

(取材・文=とみたまゆり)