
燃え殻さんの新刊『この味もまたいつか恋しくなる』の発売を記念し、ゲストを迎えて渋谷・大盛堂書店で開催したトークイベントの一部をお届けします!
お気に入りの店を見つけるとつぶれる!?
飲み友達だという今泉力哉監督と燃え殻さん。実は燃え殻さんが小説を出す前からの知り合いなのだそう。
今泉(以下「今」):ちょうど俺が『退屈な日々にさようならを』を撮るくらいにお会いしましたね。
燃え殻(以下「燃」):それで、何が面白くて何がダメなのかを聞いたり、「小説ってどう書くんですか?」と聞いてみたり。そしたら、「今、書けてるんだから、大丈夫ですよ」と言ってもらって。
今:そこから、全部じゃないけど、燃え殻さんの作品を読むようになって。今回は食事についてのエッセイですよね。俺は食通でもないし、もし美食系の本だったら自分は乗れないかもしれないと思ったけど、読んでみたら、燃え殻さんは「同じ中華屋に行ってるぞ」と(笑)。

燃:僕は普段、本当に同じものしか食べてないし、中華料理屋も同じ店へ行くし、でも行くとつぶれる……。
今:なんか切なくないですか?みんなが好きなものと自分の好きが違う、みたいな。自分はめっちゃ気に入ってるのに、お店がつぶれたり、コンビニのお気に入りの商品がなくなったり。
燃:わかる!だんだん売ってるところが減ってきて、売れてるのかなと思ったら販売中止になって。しかもSNSで検索すると、「あれまずいよね」って否定的な投稿があったり……僕、ケースで買ってたんですけど!みたいな。
中華屋も少し人がいるくらいがいいじゃないですか。めちゃくちゃ並んでも困るし。でも僕のちょうど良さだと、売り上げにならないんですよね、もうちょっと入ってくれないと。
そういえば、神奈川県立図書館にあった食堂のミートソースが、麺がソフト麺みたいでおいしかったんですよ。全然人がいなくて、ここいいなと思っていたら、つぶれました……。
今:店としては、燃え殻さんに見つけてほしくないですね(笑)。
