爆笑問題・田中も発症した脳梗塞。その予兆はほぼない。軽いめまいや手のしびれがあっても数分でおさまるので“疲れてるだけ?”と見逃しがちだ。まずは脳梗塞とそのリスクを知り、“その日”が来ても冷静に対処しよう!

「新型コロナウイルス感染症と脳梗塞の関係が話題になっていますが、40代からは誰でも脳梗塞のリスクが上がります」

 と、杏林大学医学部教授・脳卒中センター長の平野照之先生。

 昨年12月、厚生労働省の研究班と日本血栓止血学会の調査チームが、国内の新型コロナウイルス感染症と血栓の関係を発表した。血栓症とは血の塊ができる症状で、脳梗塞や肺塞栓につながる。

 新型コロナに感染した爆笑問題田中裕二がくも膜下出血と脳梗塞を発症した際には“コロナの後遺症では?”と報道されたが……。

「新型コロナが軽症の場合は頻度が低いので怖がる必要はありません」(平野先生、以下同)

 脳梗塞は厚生労働省の調べによると年間約20万人が発症し、約6万人が亡くなっている。コロナのあるなしにかかわらず、他人事ではない。

【新型コロナ重症度別血栓症の頻度】
 1・85%……全体
 0・59%……症状が軽い入院患者
 13・2%……重症患者

​軽症の場合はほぼ心配はいらないが、重症患者は脳梗塞、肺閉塞などのリスクが高い(※2020年12月厚生労働省研究班、日本血栓止血学会調査チームによる発表より)

【種類】脳梗塞の3つのタイプ

「脳梗塞とは脳の血管が詰まる病気で、主な原因は動脈硬化と不整脈です」

 動脈が硬くなると、どうして血管が詰まるの?

「庭木に水をあげるホースを思い浮かべてください。長年使っていると硬くなってボロボロになりますね。これが動脈硬化です」

 経年劣化や高血圧による負荷でボロボロになる。

アテローム血栓性脳梗塞は、傷ついた血管壁にコレステロールが入り、アテロームというドロドロの塊ができることから始まります」

 ここで意外なのはドロドロの塊が大きくなって血管を塞ぐのではなく、塊が破裂したとき、それを修復しようと集まった血小板が血栓を作って塞いでしまうこと。

「アテローム血栓性脳梗塞は太い血管で起こるので、命に関わる場合や重度な後遺症を残すことも」

 重症化に至る梗塞はほかにも。不整脈のひとつ、心房細動によって心臓に血栓ができ、脳に回って太い血管を塞ぐ、心原性脳塞栓症だ。

「突然発症して麻痺(まひ)や意識障害を起こし、死に至る場合もある危険な脳梗塞です」

 狭い血管では、もろくなった血管が塞がってしまうラクナ梗塞がある。

「これは年齢を重ねると多くの人が発症します。気づかないうちに発症していることも。脳ドックで見つかるケースも少なくありません」

イラスト/大塚さやか
イラスト/大塚さやか