40〜50代の離婚経験のある独身女性が被害に

 国際ロマンス詐欺などの相談を受ける国際家事相談支援団体『ウーマンズプライド』のスミス美咲代表は、

「私のところへ相談に来る女性は40代から50代の離婚経験のある独身女性がほとんど。子育ても終わり、恋愛から離れていた人が出会い系アプリなどで知り合い、恋に落ちて被害にあっています。軍事基地のない県に住む人に向けて軍人を装うケースも多く、“愛してるよ”などと甘い言葉をかけるのが常套手段。ただ、送られてきた写真を見ると海軍のユニフォームに空軍のバッジがついていたりするなど、詰めの甘い部分も見受けられますね」

 騙されないためにはどうすればいいのだろうか。

「本当に基本的なことではありますが、会ったことのない人にはお金を送らない、ということですね。恋は盲目とは言いますが、相手から金銭を要求されたら1度冷静になって疑ってほしい。コロナで外出することもできないため、出会い系アプリの需要は高まり、被害は増えているはず。被害にあっても周囲に相談できず、泣き寝入りしている人はかなりの数がいると思いますよ」(スミス代表)

 大林さんも「冷静に考えればおかしなところはあった」と言うが、

「騙されている最中は、本当にまわりが見えなくなっていました。最後は銀行から“お金を振り込めば、彼の口座の現金を指定の住所に送る”と連絡が来て呆れました。現金を郵送する銀行がどこにあるんだろうって……。銀行も、機械を販売する企業も全部“作り物”だったんですよね。パスポートも生年月日の部分が斜めになっている。これも数十ドル払えば作ることができるようです。こんなに手の込んだことをするんだとビックリしました」

 遺されたのは、多額の借金だけ。不安な日々が続く。

今は眠れなくなり、胃潰瘍にもなりました。考えると不安になってガタガタ震えることもあります。恥ずかしくって1度は死ぬことも考えました。私の保険金で義父にお金を返せるんじゃないかって……。でも、考え直して、これから少しずつ返済していくことにしました。自分がしたことですもの。本当にバカですよね」

 そう話すと、寂しそうに力なく笑った。