“脳のゴミ”を減らす「1975年型の和食」

「アルツハイマー型認知症は、アミロイドβという脳のゴミがたまる病気です。40代からアミロイドβを脳にためない食事をとることが予防につながります」

 と内野先生(以下同)。それはズバリ、

「“1975年型の和食”です。和食文化に、西洋食がちょうどいいバランスでまざり合った食事です。現在、認知症によいといわれる成分が多く、それが作用し合って相乗効果を生んでいます」

金町駅前脳神経内科院長・内野勝行先生撮影/矢島泰輔
金町駅前脳神経内科院長・内野勝行先生撮影/矢島泰輔
【写真】認知症に詳しい医師たちの3食をチェック! ヒントは「昭和の食卓」

 東北大学の研究グループの報告によると、この「1975年型和食」が血糖値や悪玉コレステロールを下げることがわかったという。

「高血糖状態はアミロイドβを増やすことがわかっています。糖をとりすぎて血液中に糖が急激に増えると、それを処理するために大量のインスリンが分泌されます。すると、それを分解する酵素が必要になります。その酵素はアミロイドβを分解する役目もあるため、糖の分解に使われてしまうとアミロイドβが蓄積してしまうのです」

「1975年型和食」は、野菜やキノコなど食物繊維が豊富で血糖値を急激に上げることが少ない。

 また、抗酸化力が高い食材も「1975年型和食」には多く含まれているという。

「抗酸化物質は認知症予防に重要です。活性酸素は細胞を錆びつかせる悪者で、アミロイドβを増やすことがわかっています。さらに、アミロイドβが増えると、活性酸素がさらに増えるという悪循環に陥ってしまうのです」

 鮭の切り身やエビなどに含まれるアスタキサンチンをはじめ、和食によく使われる食材には抗酸化物質が多い。

「昔ながらの和食には、まぐろやイワシなど魚が多く、DHAやEPAが含まれています。こちらも認知症予防として知られている栄養素です」

 しかし、「1975年型和食」を毎日作るのは、現代人には難しい。そこで、

「和食の食材をスープにして、冷凍しておけば楽ちんです。きちんと作れないときは、それを解凍し、卵や豆腐などを加えるだけでOKです」

 それも難しいときはサプリメントを利用して栄養を補ってもいい。

「私のメソッドは、型にはまらないこと。栄養が不足していたら、サプリメントで補ってもかまいません」

 ストイックになりすぎることが、逆に認知症リスクを高めるとか?

「ストレスは認知症リスクを高めます。笑いながら楽しく食べることが、何よりも重要な認知症予防。お子さんやお孫さんと一緒にスープ作りを楽しんで、アミロイドβという敵をやっつけましょう!」

「1975年型和食」の例。ごはん、味噌汁に主菜と副菜2つの一汁三菜が基本。朝はスープでOK。
「1975年型和食」の例。ごはん、味噌汁に主菜と副菜2つの一汁三菜が基本。朝はスープでOK。

サプリメントで栄養調整
『万能トロッカ』。内野先生が開発した和食の栄養素がとれる、その名も「トロッカ」。DHA、EPA、アスタキサンチンなど認知症予防に適した栄養素がぎゅっとつまったサプリメント。

金町駅前脳神経内科院長・内野勝行先生
脳神経内科医。帝京大学医学部医学科卒業後、都内病院の神経内科や千葉県の療養型病院副院長を経て現職。豊富な臨床経験から認知予防をわかりやすく解説。