最低限、ここだけはチェックして!

 今も全国で発覚している課税ミスは、当事者である住民が気づいたケースが多い。つまり、役所任せという姿勢では「取られすぎ」のリスクからは逃れられない。しかし固定資産の価値を厳密に評価するには、そうとうの知識が必要になる。そこでいくつかの具体例を交えて、最低限のポイントだけでもお伝えしたい。

 住宅用の土地は一定の要件を満たせば減額措置を受けられる制度が。対象となれば表のとおり、固定資産税だけでなく都市計画税も大幅に減る ※赤井さん提供

 大きいのは「減額措置の適用漏れ」だ。図のとおり、固定資産税の場合、例えば住居用の土地は200平方メートル以下の部分は課税額が6分の1、200平方メートル超の部分は3分の1になる。都市計画税も連動し、200平方メートル以下の部分は3分の1、200平方メートル超の部分は3分の2に減る。

 つまり、減額措置を役所側が忘れたまま課税した場合、固定資産税は本来納めるべき額の3~6倍になってしまう。

 では、どこをチェックすればいいのか。納税を求める書類が自治体によって異なるのが厄介だが、文書に土地の「評価額」「課税標準額」という欄はあるはず。これは戸建てでもマンションでも同じだ。この2つの欄に書かれている数字がほぼ同じ場合は要注意。住居用地の減額措置が適用されていないおそれがある。

 減額措置の適用漏れはほかにもある。例えば4月には、宇都宮市のタワーマンションで、再開発地区の耐火高層住宅に適用される軽減措置が見逃され、2000万円以上多く請求された。昨年度より納税額が高くなったことに住人のひとりが気づき、市に問い合わせて発覚したという。

 神奈川県伊勢原市でも、住人のファインプレーが集合住宅全体を救った。「ベランダまで課税されているのでは?」と疑問に思った住人が市に問い合わせた結果、団地600戸全体が「計算可能な分だけでも」1億5000万円、払いすぎていた。

 問題は、こうした「減額措置の適用漏れ」だけではない。そもそも「あなたの土地の価値は○○円」と言われた場合の、「○○円」自体が適正とはいえない可能性があるのだ。