評価額が3倍以上違っている場合も

 結果的に自分の土地では問題点がなかったとしても、無駄足ではない。こうした行動が、誰か別の人の「取られすぎ」を防ぐことにつながっていくのだから。

 ただ、この制度を使ってチェックできる時期は自治体によって異なるうえ、先述のとおり期間も限られている。もうすでに期間が過ぎている自治体もあるだろうが、その場合は来年、忘れずに尋ねてみてほしい。こうした制度をきちんと伝えているか、そうしたところにも自治体の姿勢が透けて見える気がする。

 ちなみに筆者はある自治体の住民から委任状をもらって、実際に調べたことがある。すると不思議な評価額がいくつも見つかった。

 例えば、向かい同士のほぼ同じ大きさの土地と家なのに、評価額が3倍以上違っていた。建築基準法に照らせば家を建てられない悪条件の土地が、国道沿いの土地より評価額が高い。現場も見たが、なぜこんな価格差が発生しているかはわからなかった。

「来年度以降、修正するので」には注意

 最後に、もし「取られすぎ」とわかった場合の対応も紹介したい。

 役所にとっては「返金=ミスを認める」ことで、規模によっては不祥事として発表しなければならなくなる。これは当然避けたいので、「修正するので大丈夫ですから~」といった形で、お茶をにごそうとしてくることがありうる。

 ただ、当たり前ながら、「次の年から取りすぎをやめる」ことと、「これまで取りすぎた分を返金する」ことはまったく意味が違う。

「いつからの誤りですか?  今後修正していただくとして、これまでの過払い部分はさかのぼって返金してください」と、はっきりと意思表示をすることが大切だ。

 実は法律上は、自治体側の返金義務は過去5年分しかない。独自に20年分など期間を広げている自治体もあるが、「数十年取りすぎていた」が普通に起きる固定資産税。早めに気づかないと、戻ってこない額は増える。家計を守るために、勇気を持って踏み出すときなのかもしれない。

《取材・文/赤井陽介 ジャーナリスト・米調査報道記者編集者協会(IRE)員》